1987 Fiscal Year Annual Research Report
体液中におけるオピオイドペプチドの生理機能の解析-様々な疾患時における動態-
Project/Area Number |
62571031
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
羽里 忠彦 (財)東京都臨床医学総合研究所, 主任研究員 (60109949)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
茅 〓二 順天堂大学, 麻酔学, 教授 (20124969)
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Keywords | オペオイド・ペプチド / ロイシンエンケファリン / 動態 / 妊娠 / ペプチデース |
Research Abstract |
体内にenkephalinを投与すると, その代謝酸素により迅速に その生理活性が失われる. 現在までに, 生体内よりopioid peptideが数多く発見されたが, この様に容易に活性が失われ, 疾患時にその役割を適確に把握することは不可能な状態であった. 何故, 体液中に様々なopioid peptide様物質が存在しているのか, 更に, 疼痛などの疾患時にどのような機能的役割を果しているかを解明することを目的として我々は申請した. 本年度, 体液中のopioid peptide様物質の生理機能に関する研究する上で, 簡便で再現性のある測定系が問題であると考えられた. それ故に, 体液中より低分子のopioid peptideを如何に その代謝酸素や結合蛋白質と分離するかを検討した結果, 透析法を考案した. そこで, ヒト血清を水で5時間透析後, 外液をODSカラム, HPLC でLen-enkephalin様物質を精製し, RIA法で 140pg/ml 前後含まれていることを明らかにした. さらに, 正常ヒト脳脊髄液中に500pg/mlと高濃度存在した. 一方, この様な測定系を検討していく過程において, opioidpeptide 結合蛋白質が血清・脳脊髄液中に存在していることを明らかにした. これ蛋白質はヒト血清よりDEAE cellulose,arginine sepharoslさらに sepabexG-200 などで精製した. 即ち, この蛋白はenklphalen に対して Kd10-8Mと高い親和性を有し, 分子量が40万以上であることを明らかにした. 次に, 脳脊髄液中におけるLen-enkephalin様物質が疼痛疾患時に如何なる動態を示すか検討した結果, 下肢外傷の急性疼痛において 正常人と比較して 3倍以上の有意な値を示した. 併し, 癌などの慢性疼痛患14名 において 115.4±100と顕著な低値を示した. 更に, 外因性オピオイド投与群と無投与群では それぞれの有意差が認められなかった. 現在, 疼痛 妊娠時などのopioid peptideの動態を詳細に研究中である.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 蓮見謙司,島村真里子,羽里忠彦: Jap.J. Anaesthesiology. 37. 340-343 (1988)
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[Publications] 小林澄子,茅 二,笠間晃夫,羽里忠彦: Jap. Anaesthesia. J. Review. IN PRESS (1988)
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[Publications] 羽里忠彦,島村真里子,西村欣也,茅 二: Clinical Biochemistry 投稿予定.
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[Publications] 羽里忠彦,島村真里子,茅 二: 鎮痛薬・オピオイドペプチドシンポジウム. 8. 27-28 (1987)
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[Publications] 羽里 忠彦: Sut Bulletin (東京理科大学出版会). 5. 38-42 (1988)
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[Publications] 羽里 忠彦: "続脳の生体警告系-不安・不快痛みの機構 エンケファリン分解酵素と阻害剤" 東京大学出版会, 193-207 (1987)