1988 Fiscal Year Annual Research Report
タイピング教育における認知モデルの利用に関する研究
Project/Area Number |
62580020
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
大岩 元 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (20011679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 和久 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (10186041)
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Keywords | タイピング / 認知モデル / CAI / 教育システム |
Research Abstract |
本年度は、昭和62年度に開発したデータ解析ツールを用いて、学生のふるまいに見られる類型の抽出と、その背後にある学生のタイピングに関する認知モデルの作成を行なった。具体的な研究成果は、以下のようにまとめられる。1.タイピング熟練者の認知モデルとして、コード変換機能を出力バッファをもつモデルを設定した。同モデルでは、熟練者の高速タイピングは、出力バッファの大きさによって説明される。2.学習者の認知モデルを、熟練者の認知モデルが形成される過程と、誤りを含んだ認知モデルという二つの観点から考察した。3.キーボードを見ないという指示を忠実に守って練習する学習者は、比較的早い段階から、熟練者のもつコード変換機能と同様の機能を習得し、練習を繰り返すことによって、出力バッファを徐々に大きくしていくことがわかった。4.ハント&ペックを行なっている学習者については、正確なキー位置を指先が覚えるということがなく、熟練者のもつコード変換機能が十分に生成されないことが判明した。5.ハント&ペックを行なっている学習者は、高速入力のために、熟練者のもつ出力バッファとは異なる記憶バッファを形成していると考えられる。6.一方、ハント&ペックを行なっている学習者でも、すべてのキーを目で確認しながら打鍵しているわけではなく、キーを見ないで打鍵している場合もあり、これは出力バッファの存在を示唆するものといえる。 当初に計画した研究計画・方法のうち、学生のふるまいに見られる類型の抽出と、その背後にある学生のタイピングに関する認知モデルの検討は、ほぼ達成した。今回指摘した認知モデルは、十数名の学習者による実験データをもとに考察したものであり、今後、大量の学習者集団に対する対照実験などを行ない、統計的な考察を行なうことが望まれる。
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[Publications] 大岩元: 情報処理学会「計算機システムのヒューマン・インターフェース」シンポジウム. 73-79 (1987)
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[Publications] 河合和久: 人工知能学会「ヒューマン・インターフェースと認知モデル」研究会. SIGーHICGー8801. 11-19 (1988)
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[Publications] 河合和久: 教育工学関連学協会連合・第2回全国大会. 517-520 (1988)
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[Publications] 大岩元: コンピュータ・ソフトウェア(日本ソフトウェア科学会誌). Vol.5,No.3. 2-11 (1988)