1987 Fiscal Year Annual Research Report
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62580029
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
佐々木 建昭 理化学研究所, 情報科学研究室, 研究員 (80087436)
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Keywords | 総合的数式処理 / 数式処理システム / 数学公式データベース / GCD算法 / 連立代数方程式 / 数値数式融合算法 / 代数方程式の数値解法 / グレブナー基底 |
Research Abstract |
本年度は, 総合的数式処理システムGALの開発・整備を続行するとともに, 以下の4項目について具体的に研究を推進した. (1)数学公式データベースについて.前年度までに開発した方法は, 三角関数などの数式書き換え型の公式にはうまく適用されるが, 不定積分や級数などの演算型の公式にはうまく適用できなかった. そこで, 公式を数式書き換え型と演算型の2種に分類し, 公式のインデックシングをそれぞれに応じて若干修正した. また, プログラムを全面的に書き直し, 見直しをした. (2)GCD算法の考案とベキ級数演算部の開発.多変数多項式のGCD(最大公約因子)の計算は数式処理における最重要演算の一つである. 従来, 多項式剰余列算法とモジュラ算法が知られていたが, 多変数多項式の係数をべき級数として扱い, 無用な高次項を捨てて計算する. 非常に効率的な算法を考案した. これに伴ない, べき級数演算部をGALに組み込むとともに, 算法をインプリメントして効率のよさを確かめた. (3)連立代数方程式のモジュラ・グレブナー基底解法の考案.連立代数方程式を数式処理で解く場合, 計算途中で数係数が著しく増大して計算不能に陥ることが多々ある. これに対して, 素数をモードとして計算し, あとで有理数係数の解を中国人剰余定理によって構成するモジュラ算法を考案した. この算法をGALにインプリメントしたところ. 従来の方法では非常に長時間かかった問題が容易に解け, 著しい有用性が判明した. (4)数値数式の融合算法の有用性を示すために, 1変数代数方程式の重根と近接根の分離に対して数式処理の応用を試みた. 浮動小数係数の多項式P(x)に対し, P(x)とdP(x)/dxの剰余列を計算し, 結果の数係数が一定の微小量以以になったとき0にする, との簡単な算法で, 重根と近接根が明解に分離できることをいくつかの例で示した.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 佐々木 建昭: Proceedings of EUROCAL′87.
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[Publications] 鈴木正幸 他: Proceedings of EUROCAl′87.
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[Publications] 森継修一 他: SIGSAM Bulletin. 21. 14-23 (1987)
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[Publications] 佐々木建昭 他: プログラミングシンポジウム報告集. 29. 163-173 (1988)
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[Publications] 佐々木建昭 他: 数理研講究録. 646. (1988)
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[Publications] 佐々木建昭 他: 数理研講究録. 646. (1988)
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[Publications] 土居範久 他: "百科・コンピュータの基礎知識" 岩波書店, 281 (1987)