1987 Fiscal Year Annual Research Report
革および毛皮に含まれる遊離アルデヒド類の除去に関する研究
Project/Area Number |
62580062
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
岡村 浩 昭和女子大学, 家政学部, 教授 (60102654)
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Keywords | 革および毛皮中のアルデヒド / 吸着様式による分別 / 製造工程中のアルデヒド / アルデヒドの移行 / アルデヒドの吸着機序 |
Research Abstract |
革および毛皮中のアルデヒド類の吸着様式による分別定量, 製造工程中におけるアルデヒド類含有量の実態を測定すると共に, コラーゲンに対するアルデヒド類の吸着機序について考案した. (1)革中のアルデヒド類(毛皮も含む)の吸着様式による分別定量の確立:繊維製品の場合, 例えばホルムアルデヒドの定量にはアセチルアセトン法が採用されているが, 革および毛皮では厚みと組織があり, 当然抽出条件の可否が問題となる. コラーゲン標品を試料とし, ホルムアルデヒド, グリオキザールおよびグルタルアルデヒド等を吸着させた後, 抽出条件を変えることにより, 全アルデヒド含有量および固着アルデヒド量を分別定量することが可能となった. 両アルデヒド含有量の差よりアレルギー性皮ふ炎に関与するとされている遊離アルデヒド含有量を算出することができる. (2)革および毛皮の製造工程および保存中におけるアルデヒド類含有量の変化:革および毛皮製造に使用する薬品. 工程流動中の革および毛皮のアルデヒド類含有量の測定を行った. この結果, 再鞣剤中にアルデヒド類を含むものが見出され, 仕上げ工程(特に天然皮革の外観を強調したタンパク系塗装)後の革に遊離のアルデヒドが検出されるものがあった. 保存中, 他のアルデヒド類含有物と共存する場合, 革および毛皮に移行することが顕著であった. (3)コラーゲンに対するアルデヒド類の吸着機序に関する考察:アルデヒド類の吸着条件による遊離および固着アルデヒド含有量の比, アルデヒドによる修飾コラーゲンよりの抽出条件を比較することにより, アルデヒドによるコラーゲンへの吸着(固着)はアミノ基, イミノ基の関与が大きいと認めた. (4)昭和63年度は, 革および毛皮中に残留するアルデヒド類の除去方法, コラーゲンの化学的修飾による遊離アルデヒド類の固定およびアルデヒド類の種類の分別等につき検討する.
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