1988 Fiscal Year Annual Research Report
革および毛皮に含まれる遊離アルデヒド類の除去に関する研究
Project/Area Number |
62580062
|
Research Institution | Showa Women's University, Faculty of Home Economics |
Principal Investigator |
岡村 浩 昭和女子大学, 家政学部, 教授 (60102654)
|
Keywords | 革および毛皮中の溶出アルデヒド量 / 人工汗液 / アルデヒドの除去処理再鞣剤中のホルマリン含有量 / 酸性亜硫酸ナトリウムによる遊離ホルムアルデヒドの除去 |
Research Abstract |
革および毛革中に残留するアルデヒド類の抽出条件、再鞣剤および再鞣革中のアルデヒド含有量の測定を行うと共に遊離アルデヒド類の除去方法に関する基礎的な検討を行った。 (1)革および毛皮中の溶出アルデヒド量の測定:革および毛皮中の溶出アルデヒドの測定は厚生省令第34号に示された抽出温度40℃、1時間では不十分であり最低4時間の抽出が必要であった。革および毛皮中のアルデヒドは結合型と遊離型が相互に平衡関係にあり、抽出により遊離型を除去すると結合型より遊離型に移行するため、明確に遊離型のみを測定することは不可能である。しかし、40℃、4時間の抽出により遊離型アルデヒド量を推定することができる。人工汗液による抽出では酸性汗液>蒸留水≧アルカリ性汗液と溶出量は多くなり、革および毛皮中にアルデヒドを多量に含む場合、酸性汗液による溶出には留意すべきである。 (2)アルデヒドの除去:ホルムアルデヒド処理を施したコラーゲン繊維および兎毛を酸性亜硫酸ナトリウム、過酸化水素水、アンモニア水および尿素の2%溶液で処理した結果、酸性亜硫酸ナトリウムによる浸漬処理が遊離ホルムアルデヒドの除去に効果的であった。しかし、前述のように完全に除去することは吸着機構より考えて不可能であった。 (3)再鞣剤および再鞣クロム・コラーゲン繊維中のアルデヒド含有量:再鞣剤中の全ホルムアルデヒド含有量および溶出ホルムアルデヒド量を測定した結果、カチオン性樹脂鞣剤およびアニオン性樹脂鞣剤に多量含まれていることが判った。これらで処理されたクロムコラーゲン繊維には省令第34号で規定された75μg/g以上の溶出ホルムアルデヒド量を含むものがあった。この場合、再鞣処理後、中和前に酸性亜硫酸ナトリウムで処理することにより、溶出ホルムアルデヒド量を減少させることが可能であった。溶出ホルムアルデヒド量は40℃、4時間の抽出が望ましい。
|