1988 Fiscal Year Annual Research Report
教科体育における集団行動の学習指導に関する基礎的研究ー構造機能論と解釈論の融合をめざしてー
Project/Area Number |
62580088
|
Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
沢田 和明 滋賀大学, 教育学部, 助教授 (20053332)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村山 勤治 滋賀大学, 教育学部, 助教授 (70121548)
三浦 幹夫 滋賀大学, 教育学部, 助教授 (40132584)
豊田 一成 滋賀大学, 教育学部, 助教授 (30024962)
|
Keywords | 集団行動 / 管理主義教育 / 体育 / 能率 / 安全 / 規律正しさ |
Research Abstract |
本年度は昨年度実施した各領域別の資料収集したものの整理、及びその結果による再データ収集と集約作業を行い、報告書をまとめた。 昨年度実施回収済みの社会調査は基礎集計のみが終わっていたが、それらを概括し、必要項目の大学と小学校、中学校、高等学校との比較や項目間のクロス集計や因子分析や判別分析などを行った。その結果大学教員と高校までの教員の間に集団行動の考え方にいくつかの違いがあることがわかった。また小学校、中学校、高等学校の間においても明瞭な差異がみられるものがいくつかあった。 歴史的な考察では明治以降の学校の中に取り入れられていった教練の内容や取り扱いの変遷を調べ、また終戦後の集団行動の導入から現行の学習指導要領に至るまでの変遷を概括し、教科体育の中での教練の重要性や集団行動のしつけ的役割などについての資料をまとめた。 心理学的な考察では、特に学習の能率や安全という観点から集団行動の意味を概括し、児童生徒の学習への動機づけに基づいた興味、関心や注意の観点も考慮した多様な行動様式が必要であることを述べた。 運動形態学では、礼の行動様式を引例しながら教育者側からの集団行動指導のあり方を分析し、被教育者側のこれまで受けてきた集団行動の学習についてのレポートを集約して、集団行動の教育的意義の捉え方と実際の指導の形式重視との間のズレが問題であることを指摘した。 学校教育の中での集団行動学習は必要不可欠なものであるが、指導の手引に示されたものが教科体育にとって、また学校教育にとって能率や安全、規律正しさというねらいからは、まだ論証が不十分ではあるが、あまり機能的ではないと集約した。 また10月の日本体育学会の教科教育学専門分科会、及び11月の日本教育社会学会の学校教育部会で社会調査の内容について口頭発表した。
|