1987 Fiscal Year Annual Research Report
ガングリオシドの介在する細胞間あるいは細胞内への情報伝達機構の解析
Project/Area Number |
62580110
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
辻 崇一 東京大学, 医学部, 助手 (90124677)
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Keywords | ガングリオシド / タンパクリン酸化 / 神経芽腫瘍細胞 / 細胞表層 |
Research Abstract |
本年度はこの研究課題に関して以下の二つの研究を行なった. 1.ガングリオシド依存性タンパクリン酸化酵素の精製と構造と機能の解析神経芽腫瘍細胞(GOTO)の形質膜画分に存在するガングリオシド依存性タンパクリン酸化酵素活性をNP-40で安定かつ高収率で可溶化出来ることが明らかとなった. 可溶化された酵素活性をHPLC-Phenyl-5PWを用いて疎水性クロマトグラフィーを行なうことにより, その活性はCa^<2+>依存性のものと非依存性のものとが存在することが明らかとなった. さらに, ラット脳の膜画分にもNP-40で可溶化される同酵素活性が存在することを明らかにした. この酵素活性の中で, 神経芽腫瘍細胞(GOTO)の形質膜画分に認められるCa^<2+>非依存性と同等と考えられる酵素を精製する条件を種々検討したが, さらに詳細な検討を加える必要がある. 2.ecto-型のガングリオシド依存性タンパクリン酸化酵素活性の解析 神経芽腫瘍細胞(GOTO)の細胞表層に局在するecto-型のガングリオシドにより活性化されるタンパクリン酸化酵素活性の存在を明らかにした. ガングリオシドGQ_<1b>が特異的に活性化をし, リン酸化される膜タンパク質は少なくとも二種存在しその分子量はSDS-PAGEで見る限り64, 60KDaであった. また, そのリン酸化されるアミノ酸残基はSer, Thrであった. ガングリオシドが活性化を示すためには少なくとも数時間ガングリオシドと細胞とをあらかじめ温置することが必要であった. これは, おそらくガングリオシドが細胞膜に取り込まれることが必要なためと考えられる. また, GQ_<1b>の糖鎖部分がGQ_<1b>の作用を阻害することから糖鎖部分を認識する何等かの機構が関与しているものと考えられる. 今後この酵素の実体を明らかにするとともに, 上記1の酵素との関連を調べ, ガングリオシドの関与する細胞間シグナル伝達機構を解明する予定である.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Shuichi Tsuji: J. Neurochem.50. 414-423 (1988)
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[Publications] 辻 崇一: 医学のあゆみ. 145. (1988)
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[Publications] Ledeen,R.W. et al 編 Yoshitaka Nagai: "New Trends in Ganglioside Research: Neurochemical and Neuroregenerative Aspects" Liviana Press, Padova, (1988)
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[Publications] Nagel,O.A et al 編 Yashitaka Nagai: "Lectin and Glycoconjugate in oncology" Springer-Verlag,Heidelberg, (1988)