1988 Fiscal Year Annual Research Report
ガングリオシド発現関連遺伝子の単離と同定および発現調節の解析
Project/Area Number |
62580111
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Research Institution | Department of Biochemistry, Faculty of Medicine, University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐内 豊 東京大学, 医学部, 助手 (40150289)
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Keywords | ガングリオシド / 癌遺伝子 / シアル酸転移酵素 |
Research Abstract |
62年度の実績に基づいて、メラノーマゲノムDNAライブラリー導入細胞からGD3ガングリオシド発現トランスフェクタントを回収し、メラノーマ由来遺伝子をin vitoro packaging法にて大腸菌に回収した。これらの回収したDNAクローンについて制限酵素切断地図を解析した結果、6種類に分類出来ることが判明した。回収したそれぞれのクローンについてGD3ガングリオシド発現能をL細胞を宿主として調べたが、いづれについても発現能を有していなかった。この結果は、GD3発現には、複数の遺伝子の発現が必要であることを意味しているのかもしれないが詳細については不明である。さて、GD3の発現はこれまで核内型癌遺伝子、アデノウィルスE1Aやmycによって誘導出来ることを我々は見出していた。これら癌遺伝子に共通する機能として、細胞遺伝子発現の転写レベルでの調節が知られる。本計画に示した様に、ガングリオシド発現の調節を解析する為、他の癌遺伝子(srcファミリーやras)の導入によってGD3が発現するか否かを調べた。その結果、これら核外型癌遺伝子によってはGP3が発現出来ず、代替としてシアロシルパラグロボシド(すでに共通)GM1b、GD1αが新しく合成されることが明らかとなった。又さらに結果として生ずるガングリオシドパターン変化は、癌遺伝子に特徴的であることも判明した。以上を総合すると、GD3ガングリオシドの発現は、必ずしも細胞癌化とともに生ずる癌関連糖脂質として位置づけられるものではなく、むしろ細胞機能に基本的に付随する役割を演じていることが示唆され、その機序として転写レベルでの調節が予想された。本計画では当初予想していた発現調節遺伝子を単離同定出来なかったが、研究遂行中、多くの知見を得ることが出来た。今後、今研究で得られた結果を生かして、この分野の研究進展に生かしたいと考えている。
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[Publications] H.Nakaishi,;Y.Sanai,;M.Shibuya,;M.Iwamori,;Y.Nagai.: Cancer Res.48. 1753-1758 (1988)
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[Publications] Y.Sanai,;M.Yamasaki,;Y.Nagai.: Biochim.Biophys.Acta. 958. 368-374 (1988)
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[Publications] S.Itonori,;Y.Sanai,;K.Hidari,;M.Taniguchi,;Y.Nagai.: submitted to Glycoconjugate J.