1987 Fiscal Year Annual Research Report
リソソーム酵素の活性調節因子としての糖および糖タンパク質の作用
Project/Area Number |
62580112
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
瀬野 信子 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (40017182)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 温子 お茶の水女子大学, 理学部, 助手 (90143700)
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Keywords | β-グルクロニダーゼ / リソソーム酵素 / アフィニティクロマトグラフィー |
Research Abstract |
細胞内における加水分解酵素の蓄積場であるリソソームは, 小胞体で合成されてマンノース6^+リン酸を含むオリゴ糖鎖が付加された酵素のみを効率よく取りこむことが明らかにされ, 様々なリソソーム酵素が糖タンパク質であることも明らかにされてきた. しかし, これらのリソソーム酵素の活性がどのような機構で調節されているのかについては未だほとんどわかっていない. 本年度はリソソーム酵素の一つであり, ムコ多糖の代謝上重要なβ-グルクロニダーゼについて, その活性に影響を与える種々の糖の作用機構をLineweaver Burkプロットにより調べ, さらに糖をリガンドとするアフのニティクロマトグラフィー(AFC)による, β-グルクロニダーゼの精製を試みた. ウシ肝β-グルクロニダーゼ活性は, よく知られているようにサッカロー1,4-ラクトンおよびグルクロン酸により競争的に阻害されるだけでなく, 種々の中性糖により影響され, 特にラクトースによって注目すべき影響をうけ, 1mMの低濃度では活性化され, 10mM以上の高濃度では競争的に阻害されることが初めて見出された. またラクトースで前処理後, サッカロー1,4-ラクトンを加えたところ, サッカロー1,4-ラクトンのみの場合より阻害が強化された. これらの結果は, リソソーム酵素であるウシ肝β-グルクロニダーゼが基質や競争的阻害剤とは異なる部位でラクトースと結合しうること, またラクトース濃度によって活性の調節が行われている可能性を示唆している. 以上の結果を活用して, ラクトースを固定化した吸着体を用いてAFCを行ったところ, 市販のウシ肝β-グルクロニダーゼは混在するN-アセチルーβ-グルコミニダーゼおよびN-アセチルーβ-ガラクトサミニダーゼから分離され, 比活性は20倍に上昇し, SDS-PAGEで単一バンドを示す酵素が70%以上の回収率でえられ, この方法が簡易精製法として有効なことが判明した.
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