1987 Fiscal Year Annual Research Report
コドン・アンチコドン相互作用と遺伝情報翻訳の忠実度
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62580115
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西川 一八 名古屋大学, 理学部, 助手 (60109262)
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Keywords | コドンーアンチコドン相互作用 / 遺伝情報の翻訳 / 分子整形技術 |
Research Abstract |
1.本年度の補助金で購入したHPLCポンプを利用して, RNAの分子整形手術を行うのに必要な材料を調製するための技術的検討を行った. その結果, オリゴヌクレオチドやtRNA断片を迅速かつ効率的に調製するのに有効な溶媒条件等の組み合わせを設定することができた. 2.それらの材料を用いて酵母tRNA^<Phe>(アンチコドンはGmAA)の塩基配列を試験管内で酵素的に改変し, アンチコドンをそれぞれ, GAA, AAA, AGA, GGAなどとしたtRNA^<Phe>変異体を作成した. 3.これら一連の変異体tRNAをフェニルアラニルーtRNAの合成酵素によりアミノアシル化し, 酵母より調製した無細胞タンパク質合成反応系を用いてポリ(U)をmRNAとしたポリフェニルアラニン合成能を検討した. アンチコドンがGAA, AAAのtRNA^<Phe>はポリフェニルアラニン合成ができたが, AGA, GGAのtRNA^<Phe>はほとんど全くできないという結果を得た. この結果はアンチコド1字目(この場合GまたはA)とコドン3字目(同, U)のウォブルは許されるが, アンチコドン2字目(同, G)とコドン2字目(同, U)のウォブルは禁止されるという, 遺伝情報翻訳上の制約をそのまま反映している. 4.今後, これらの変異体tRNAのアンチコドンループ内の他の部分(例えばU33番残基)に改変を加えた二重変異体を作成し, アンチコドン2字目とコドン2字目のウォブル(この場合G〜U塩基対)を許すようになる構造的要因を探っていきたい. このような要因は, 裏返して見れば, それはとりもなおさず遺伝情報翻訳の忠実度を高めるために必要なtRNAの構造的要因であるということになる.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Kazuya Nishikawa: Proc. Space Life Sci. Colloq. ISAS, Tokyo. 10-12 (1987)
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[Publications] Kazuya Nishikawa: Nucleic Acids Symposium Series. 19. 121-123 (1988)
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[Publications] Kazuko Ogawa: Nucleic Acids Symposium Series. 19. 125-128 (1988)