1988 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖特異的単クローン抗体に対する抗原複合糖質糖鎖の構造と生合成
Project/Area Number |
62580118
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船越 育雄 京都大学, 薬学部, 助手 (10025702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅原 一幸 京都大学, 薬学部, 助手 (60154449)
山科 郁男 京都大学, 薬学部, 名誉教授 (70025675)
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Keywords | 単クローン抗体 / 糖鎖特異的単クローン抗体 / 抗原糖鎖構造 / Oーグリコシド型糖鎖 / LS180 |
Research Abstract |
本研究者らは既に、ヒト結腸癌細胞LS180を免疫原として何種類かの糖鎖特異的単クローン抗体を得た。本研究ではこの中から結腸癌細胞とは強く反応するが正常上皮細胞とは反応しないMLS102抗体と、癌細胞、正常上皮細胞のいずれともよく反応するMLS103抗体を選び、これらが認識する抗原糖タンパク質をLS180細胞より分離、精製し、その化学的性質について比較した。 目的とする抗原は細胞から抽出したのち、MLS102またはMLS103の抗体カラムを用いて精製した。得られた抗原はいくつかの成分より成るが、電気泳動の結果からは両抗原は明らかに異なったものであった。また、MLS102抗原はMLS103抗体と、MLS103抗原はMLS102抗体とは全く反応せず、抗体反応性も両抗原は明らかに異なっていた。アミノ酸、アミノ糖、シアル酸の分析結果も両抗原の大きな違いを浮堀りにした。即ち、MLS102抗原にはSer、Thr、Proが多く、全アミノ酸の約60%にも達した。また、ガラクトサミン、シアル酸が多いのに対し、グルコサミンは僅かであった。一方、MLS103抗原では、上記アミノ酸の合計は全アミノ酸の25%にすぎず、ガラクトサミンの含量もグルコサミンと同程度の低い値を示した。そこで次に両抗原からアルカリ還元処理によりOーグリコシド型糖鎖を遊離させて調べたところ、MLS102抗原のOーグリコシド型糖鎖はNeuAcα2→6GalNAcとGalNAcが全糖鎖の81%にも達した。一方、MLS103抗原の糖鎖は短いものは少なく、長い糖鎖が大部分を占めていた。 以上の結果より、MLS102抗原はSer、Thr、Proを含む特徴あるコアタンパク質を含み、これに短いOーグリコシド型糖鎖がポリペプチド鎖全体に亘って密に分布しているものと思われる。これに対し、MLS103抗原はMLS102抗原とはペプチド鎖の構造が著しく異なっており、結合している糖鎖は長いものが多く、その数は少ないものと考えられる。
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[Publications] Akira Kurosaka: J.Biol.Chem.263. 8724-8726 (1988)
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[Publications] Hiroshi Kitagawa: J.Biochem.104. 591-594 (1988)
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[Publications] Hiroshi Kitagawa: J.Biochem.104. 817-821 (1988)
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[Publications] Shigeyuki Fukui: Jpn.J.Cancer Res.(Gann). 79. 1119-1129 (1988)