1988 Fiscal Year Annual Research Report
マメ科植物STI(Kunitz)型プロティナーゼインヒビターの双頭性
Project/Area Number |
62580121
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原 三郎 大阪大学, 理学部, 助教授 (00028193)
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Keywords | ダイズトリプシンインヒビター(Kunitz) / シカクマメキモトリプシンインヒビター / 阻害機構 / 第二阻害反応部位 |
Research Abstract |
1)シカクマメ・キモトリプシンインヒビターWCIー3のアミノ酸配列の決定:WCIー3を還元Sーカルボキシメチル化し、リジルエンドペプチダーゼ及びスタフィロコッカスV8プロテアーゼ消化して得たペプチドのアミノ酸配列をエドマン分解法により決定した。両者のアミノ酸配列の重ね合わせにより、WCIー3の全アミノ酸配列を決定した。WCIー3は2個のSーS結合を含み、183残基のアミノ酸で構成され、カルボキシル未端4残基に不均一が認められた。WCIー3のアミノ酸配列は、今までに構造決定されているSTI(Kunitz)型インヒビターと高い相同性を示した。 2)STI(Kunitz)型インヒビターの双頭性:1分子で2分子のキモトリプシンを阻害することができるWCIー3の2箇所の阻害反応部位の位置を検索した。pH3.0で2週間キモトリプシンをWCIー3に作用させたが、第一阻害反応部位であるLeu(65)ーSer(66)結合だけが切断を受け、第二阻害反応部位の切断は認められなかった。エラスターゼ、ズブチリシン、SGPA及びSGPBなどの酵素類を用いて第二阻害反応部位の切断を試みたが、どの酵素も第二阻害反応部位を切断しなかった。つぎに、ダイズ・トリプシンインヒビター(STI)Ti^aが2分子のキモトリプシンを結合することを利用して、第二阻害反応部位を検索した。Ti^aのArg(63)ーIle(64)またはMet(84)ーLeu(85)結合をそれぞれトリプシンまたはズブチリシンで切断すると、Ti^aは1分子のキモトリプシンしか結合できなくなり、また両結合を切断すると全くキモトリプシンを結合しなくなった。したがって、第二阻害反応部位はMet(84)ーLeu(85)付近に存在するものと考えられる。
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[Publications] 柴田浩志、原三郎、池中徳治: J.Biochem.104. 537-543 (1988)
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[Publications] 原三郎: 最新医学. 43. 709-712 (1988)
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[Publications] 原三郎,池中徳治: "タンパク質II、構造と機能 編 第4章「セリンプロティナーゼインヒビター」" 化学同人, 426 (1988)