1988 Fiscal Year Annual Research Report
リソソーム酵素および糖脂質分解活性化因子の糖鎖と細胞内転送機構に関する研究
Project/Area Number |
62580123
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山下 克子 神戸大学, 医学部, 助教授 (70030905)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小出 典男 岡山大学, 医学部, 講師 (20142333)
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Keywords | リソソーム酵素 / 糖脂質活性化因子 / 糖蛋白質糖鎖 / リソソーム転送機構 / リソソーム認識標識 / レクチン |
Research Abstract |
1.マンノース-6-リン酸以外のリソソームへの認識標識を探る為に、昨年度に引き続きスフィンゴ糖脂質分解活性化因子(SAPs)の糖鎖構造を解析した。ヒト正常肝GMI Activator,ヒト正常肝およびモルモット腎GM2 Activator、Gaucher病ひ臓グルコセレブロシダーゼActivatorはいずれも定性的に同じ糖鎖構造を示し、複合型糖鎖の分解産物であることが明らかとなった。また、尿および白血球のリソソーム性リボヌクレアーゼもSAPsと類似した構造であることも確認された。従ってこれらの糖鎖構造の中から輸送機構に携わる特定の糖鎖を探し出すのは困難である。そこで先天的にリソソーム性β-ガラクトンダーゼの欠損したGM1ガレグリオシドーシス患者肝のGM1 Activator(SAP-1)の全糖鎖構造を解析した。いずれもN__ー-アセチルラクトサミン残基を1から4本側鎖に有する複合型糖鎖でその15%にはシアル酸が、約50%の還元末端にはフコースが結合しており、SAP-1のリソソームへの認識標識はこれらの中の特定の糖残基であることが示された。 現在、いずれの糖残基が移行標識となっているか追跡中である。 2.本研究を遂行するにあたり、糖鎖構造の微量分析法の開発が必要不可欠であった。今年度は、E-PHA、L-PHA、AlloA-カラムの糖結合特異性を明らかにし、SAP-1の全構造を初めて明らかにすることが出来た。これらのレクチンは構造研究のみならず、広く細胞生物学への応用が期待出来る。 3.また、ヒト肝細胞内に局在するr-グルタミルトランスペプチダーゼにはSAPsと同様に還元末端のN__ー-アセチルグルコサミンにフコースが結合した複合型糖鎖が結合していることを見出した。この特徴はヒト肝細胞産生の血清糖蛋白質の糖鎖と対照的であり、糖蛋白質の細胞内局在化機構におけるフコース残基の重要性を示唆するものである。今後、リソソームへの認識標識にとどまらず、細胞の方向性とそれぞれのオルガネラへの転送機構を解明する為の実験的事実を集積しつつある。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Yamashita,K.: Biochemistry. 27. 5565-5573 (1988)
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[Publications] Yamashita,K.: Journal of Biological Chemistry. 263. 17482-17489 (1988)
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[Publications] Yamashita,K.: Journal of Biological Chemistry.
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[Publications] Yamashita,K.: Journal of Biochemistry(Tokyo). in press.
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[Publications] Yamashita,K.: "Allomyrina dichotoma Lectins in Methods in Enzymology" Academic Press, (1989)
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[Publications] Kobata,A.: "Extention and Limit of Affinity Chromatography of Oligosaccharides on an E_4-PHA-agarose Column.in Methods is Enzymolgy" Acadenic Press, (1989)