1988 Fiscal Year Annual Research Report
先天性機能異常XII因子とフィブリノーゲンの構造解析
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62580126
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 明夫 九州大学, 理学部, 助教授 (30037379)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川畑 俊一郎 九州大学, 理学部, 助手 (90183037)
斎藤 英彦 名古屋大学, 医学部, 教授 (20153819)
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Keywords | 分子異常XII因子 / カリクレイン / XII因子Washington D.C. / セリンプロテアーゼ / アミノ酸配列 |
Research Abstract |
1981年、斉藤らは異常XII因子Washington D.C.を発見した。この異常分子は正常と同じ分子量と抗原性を有しかつ正常と同様に限定分解をうけるものの、セリンプロテアーゼ活性およびプレカリクレイン活性化能を示さず、さらにDFPもとりこまないことを明らかにした。この活性消失の構造異常を明らかにするため、XII因子Washington D.C.の解析を行なった。 正常および異常XII因子はモノクローナルXII因子抗体アフィニティカラムを用いて精製し、トリプシンで活性化後、βXIIa因子を調整した。次いで両者を還元ピリジルエチル化後、トリプシン消化を行ない、生成ペプチドをCosmosil5C4-300カラムで分別しつつ比較した。HPLCマップより異常ペプチドT12'(残基番号559-574)を得た。このペプチドのアミノ酸分析は、正常ペプチドT12に比べCysが1残基へり、Serが1残基ふえていた。気相シークエンサーで配列分析を行なった結果、ペプチドT12'はLeu-Thr-Len-Gln-Gly-Ile-Ile-Ser-Trp-Gly-Ser-Gly-Ser-Gly-Asp-Argであった(下線のアミノ酸残基は、正常ペプチドではCysである)。 異常XII因子Washington D.C.は、セリンプロテアーゼドメイン内のCys-571がSerに置換していた。このアミノ酸置換はCys-571のコドンのTGTがTCTもしくはAGTに変異したことで説明できる。Cys-571はキモトリプシンでは220番に相当し、微生物から哺乳類までの他のセリンプロテアーゼ間でよく保存されている。従って、この異常分子では、Cys-571と対をなすCys-540はジスルフィド結合を形成できないので、これらの残基間に存在する活性中心残基、Ser-544や基質と逆平行βシートを形成するSer-566、Trp-567、Gly-568の立体構造が変化し、酵素活性が消失したものと考える。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Miyata,T.: J.Biochem.105. 730-734 (1989)
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[Publications] Sugimoto,M.: J.Biochem.104. 878-880 (1988)
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[Publications] Takeya,H.: J.Biol.Chem.263. 14868-14877 (1988)
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[Publications] Tokunaga,F.: J.Biol.Chem.263. 14741-17481 (1988)
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[Publications] Nakamura,T.: J.Biol.Chem.263. 16709-16713 (1988)
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[Publications] Hase,S.: J.Biochem.104. 867-868 (1988)
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[Publications] 宮田敏行 他: "蛋白質・核酸・酵素33巻,NO.5" (株)共立出版, 959-963 (1988)
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[Publications] 宮田敏行: "日本血液学会雑誌51巻,NO.7(ミニレヴュー)" 社団法人日本血液学会, 1285-1288 (1988)