1987 Fiscal Year Annual Research Report
抗体を用いたホスファチジルイノントール2リン酸の定量的動態解析
Project/Area Number |
62580128
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
吉岡 亨 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (70046027)
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Keywords | ホスファチジルイノントール / 4,52リン酸 / 抗血清 / IgM / P1P_2分解 |
Research Abstract |
ラット網膜内ホスファチジルイノシトール4, 52リン酸(PIP_2)の動態の解析を, PIP_2に対するウサギ抗血清を用いて行なった. その結果 (1)明順応した捍体外節膜中のPIP_2は殆んど認められなかったが暗順応外節中のPIP_2は抗血清により強く染色された. (2)捍体外節中のPIP_2量は僅か1ミリ秒のフラッシュ光により減少した. (3)このように急減少した網膜中PIP_2量は, 暗順応操作により徐々に回復することが判った. そして5分間の暗順応で, 完全暗順応レベルにまで回復することが確かめられた. (4)暗順応した網膜にいろいろな強度の光を照射することにより, 捍体外節中のPIP_2の量は, 光量に依存して減少した. この減少の度合は, ブリーチしたロドプレンの量と完全に相関することが判かった. (5)このような結果から以下のような結論が導かれる 即ち a)ラット網膜中のPIP_2は光照射により急速に分解する b)このPIP_2は暗黒中で速やかに再生する c)PIP_2の分解はロドプレンのブリーチングによりトリガーされる. 以上の結果はCell Structure and Function に発表された. この抗血清を他の組織にも適用し, PIP_2の動態の解析を行なった. 即ち (1)ラットレンズを免疫組織化学的に検索した結果, 線稚状構造にはPIP_2が認められなかったものの上皮清造には認められた. この結果PIP_2は老化にも関係することが示唆された. (2)ラット腎臓, トリ錐体, ヒト捍体中にもPIP_2の局在部位を見出した. この部位の同立は来年度にも引き続き行う. なお, この抗血清はIP_3とは反応しなかった. またほとんどがIgMであった.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Inoue,H.,Yoshioka,T. and Hotta,Y.: J.Biochem.103. 91-94 (1988)
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[Publications] Horikoshi,T.,Yoshioka,T.,Kubota,Y. and Yanagisawa,K.: Cell Structure and Function. 12. 525-537 (1987)
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[Publications] Das,N.,Yoshioka,T.,Samelson,D.,Cohen,R.J. and Shichi,H.: Cell Structure and Function. 12. 471-481 (1987)
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[Publications] Yoshioka,T. and Inoue,H.: Neuroscie.Tes.Suppl.Suppl.6. S15-S24 (1987)
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[Publications] Suzuki,N. and Yoshioka,T.: Neurosci.letter. 75. 235-239 (1987)
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[Publications] Das,N.D.,Yoshioka,T.,Samelso D. and Shichi,H.: Opthalmic Res.19. 57-60 (1987)
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[Publications] 井上宏子.吉岡 亨 葛西他 共編: "神経情報伝達分子" 培風館, 167 (1988)