1988 Fiscal Year Final Research Report Summary
抗体を用いたホスファチジルイノレトール2リン酸の定量的動態解析
Project/Area Number |
62580128
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物質生物化学
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
吉岡 亨 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (70046027)
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Project Period (FY) |
1987 – 1988
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Keywords | イノシトールリン脂質 / モノクローン抗体 / 網膜 / レンズ / 松果体 / 大脳 / 小脳 |
Research Abstract |
この研究は生体膜中に1%以下しか存在しないが、細胞内情報伝達に中心的な役割を果しているホスファチジルイノレトールチ、5ー2リン酸(PlP_2)の定量分析法を確立するために行われた。これまでPlP_2の分析は主として放射性リン(^<32>P)で標識して行われるのが常であったが、この方法では、PlP_2の絶対値が不明のままであり、またこの物質の分解速度を測定するには、代謝速度を別の方法で測定しておく必要があった。抗体を用いればこれらの難点は何れも解決されるからである。我々はこの研究を始める前にすでにポリクローン抗体を所有していたが、その後モノクローン抗体も作成した。この抗体はPlD_2と極めて選択的に反応し、他の類似物質であるPlDとかPIとは殆んど反応しなかった。また他のリン脂質とも殆んど反応しなかった。手法としては、主に免疫組織化学的手法を用いた。対象とした組織は、(1)内耳有毛細胞、(2)ラット、及びトリ網膜、(3)ラットレンズ、(4)ラット松果体(5)ラット大脳、小脳、である。以下得られた結果について略述する。()内は文献 a)内耳有毛細胞では毛の表面のみがよく染まり他の部分は染まらなかった(2) b)網膜では視細胞とレナプス部位のみがよく染まり、光照射により退色した。光照射ののち網膜を暗黒中に放置した時約4分で再び染まった。(4) c)眼球のレンズは分化の良いモデルである。レンズ前面のepithelial cellは良く染まったが、側面の孤状部位のepithelial cellは染まらなかった。これは要するに未分化のcellはよく染まるが分化したcellは染まらないことを意味している。(5) d)S抗原を注射したラットの松果体の毛様体部位は炎症を起し、やがて崩壊する、これに対応して松果体の染色性が変化した。炎症とPlP_2の関連を示唆する初めての例である。(1)
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Das,N.;Yoshioka,T.;shidhi,H.: J.Pineal Res.6. 9-16 (1989)
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[Publications] Yanagisawa,K.;Horikoshi,T.;Yoshioka,T.;Sokabe,M.: Prog.Brain Res.74. 313-317 (1989)
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[Publications] Miyajawa,A.;Umeda,M.;Horikoshi,T.;Yanagisawa,K.;Yoshioka,T.;Inoue,K.: Molecalar Immunal.25. 1025-1031 (1988)
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[Publications] Das,N.D.;Yoshioka,T.;Samuelson,D.;Cohen,R.J.;Shichi,H.: Cell Struct.&Funct.12. 471-481 (1987)
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[Publications] Das,N.D.;Yoshioka,T.;Samuelson,D.;Shichi,H.: Ophthalmic Res.19. 57-60 (1987)
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[Publications] Yoshioka,T.;Inoue,H.: Neuroscience Res.Suppl.6. 15-24 (1987)