1988 Fiscal Year Annual Research Report
脊椎動物のβーガラクトシド結合性レクチンの構造・機能・役割
Project/Area Number |
62580133
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
笠井 献一 帝京大学, 薬学部, 教授 (40001052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平林 淳 帝京大学, 薬学部, 助手 (40156691)
小田 裕子 帝京大学, 薬学部, 助手 (30129986)
大山 雄二 帝京大学, 薬学部, 助手 (90129982)
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Keywords | レクチン / βーガラクトシド / ニワトリ胚 / ヒト胎盤 / アミノ酸配列 / cDNA / 形態形成 / ガン化 |
Research Abstract |
1.ニワトリ16K型レクチンの一次構造について、核酸側とタンパク側の両方から解析を進めた。ニワトリcDNAライブラリーより単離したcDNAクローンの塩基配列を決定したところ、先にタンパク側から決定した部分配列に対応する塩基配列が含まれていることが示され、このクローンが求める16KレクチンcDNAであることが明らかとなった。得られたクローンはC末端をコードする部分が一部欠けているため、これをプローブとしてさらに全長クローンを探索している。一方、タンパク側からは、HPLCによって新たなペプチドを分離して構造解析を進めており、近く核酸側、タンパク側の両方から独立に一次構造の決定ができる見込である。 2.ヒト胎盤レクチンについては、タンパク側からの一次構造解析を完了した。またヒト肺のcDNAライブラリーより単離したcDNAクローンの塩基配列を決定し、これから推定されるアミノ酸配列が先に決定したタンパク側から得られた配列と完全に一致した。さらにこのcDNAを発現ベクターに組み込むことにより、ヒトレクチンを生産する大腸菌株の樹立に成功した。これにより、臨床医学的な応用を含む様々な研究に供給できる大量のレクチンの入手が可能となる。 3.ラジオイムノアッセイ等の結果から、ヒトなどのガン組織には、正常組織とは異なり、糖に結合しない遊離の状態のレクチン様の物質の存在が示唆された。これについてのさらに詳しい生化学的な検討のため、マウス形質転換繊維芽細胞L929からのレクチンの単離精製を行なった。その結果、この細胞にハプテン糖を含まない抽出液が抽出でき、アシアロフェツイン固定化カラムに結合するレクチンが存在することが示され、ガン化とこのレクチンの機能の関連が注目される。
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[Publications] J.Hirabayashi.: J.Biochem.104. 1-4 (1988)
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[Publications] Y.Ohyama.: J.Biochem.104. 173-177 (1988)
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[Publications] K.Kasai.: Lectins-Biology,Biochemistry,Clinical Biochemistry. 6. 417-420 (1988)
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[Publications] H.Hirano.: Proceeding of the Kagoshima International Symposium of Glycoconjugates in Medicine. 8-13 (1988)
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[Publications] Y.Ohyama.: Biochem.Biophys.Rea.Commun.134. 51-56 (1986)
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[Publications] 笠井献一: 細胞工学. 6. 222-232 (1987)