1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62580139
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
岩下 淑子 (財)東京都老人総合研究所, 生化学部, 主任研究員 (50111498)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩下 新太郎 (株)三菱化成生命科学研究所, 細胞生理, 主任研究員 (90092147)
斉藤 恵実 (財)東京都老人総合研究所, 生化学部, 研究員 (90132901)
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Keywords | コレステロール / 細胞膜 / チオール活性化毒素 / θ-毒素 / 赤血球 / 還元メチル化 |
Research Abstract |
θ-毒素は、Clostridium perfringensの産生するタンパク質性の溶血毒であり、コレステロールに結合して膜を破壊する。本年度は、以下の2点を中心に研究を進めた。 1.θ-毒素の構造と機能。-θ-毒素の限定分解により得られた切断毒素TθはT1(29K)とT2(26K)の2つのフラグメントの複合体である。Tθの尿素処理によって各々のフラグメントを単離し、その活性を調べたところ、C末端側のフラグメントであるT2がθ-毒素と同程度のコレステロール結合能を保持していることが明らかになった。また、T2のC末端から約5Kの位置にあるチオール基がコレステロールへの結合に関与しているという知見が得られた。 2.溶血をおこさない還元メチル化θ-毒素の調整及びこれをプローブとした細胞膜コレステロールの存在状態の解析。-我々は、θ-毒素のプロテアーゼ限定分解により20℃以下では溶血をおこさない切断毒素Cθを調整し、これをプローブとした解析の結果、羊赤血球膜上に毒素に対する親和性を異にする2種類の毒素結合部位コレステロールが存在することを明らかにしている。今年度はCθの還元メチル化により生理的温度においても溶血をおこさないθ-毒素誘導体の作製に成功した。Cθ、MCθを用いた解析の結果、羊のみならずヒト、ラット等広範な動物種の赤血球において2種類の毒素結合部位コレステロールの存在が示された。さらに、リンパ腫細胞でも同様の結果を得た。このことは、赤血球膜で示されたコレステロールの存在状態の不均一性が、赤血球以外の細胞においても広く見られる現象である可能性を示している。 本研究で得たプローブは、生体膜の構造研究、さらに、コレステロールの生物学的役割の研究に有用と考えられる。
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[Publications] I.Zs.-Nagy.: Biochim.Biophys.Acta. 939. 551-560 (1988)
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[Publications] Y.Ohno-Iwashita.: Eur.J.Biochem.176. 95-101 (1988)
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[Publications] 岩下淑子: 生化学. (1989)
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[Publications] 岩下淑子: 第35回毒素シンポジウム. 35. 93-96 (1988)
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[Publications] 岩下淑子: 生化学. 60. 879 (1988)
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[Publications] Y.Ohno-Iwashita.: IVth International Congress on Cell Biology. 4. 218 (1988)