1988 Fiscal Year Annual Research Report
ヘビ神経毒タンパク質に対する単クローン抗体が認識するエピトープの分子論的解明
Project/Area Number |
62580140
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
稲垣 冬彦 (財)東京都臨床医学総合研究所, 生理活性物質研究部門 (70011757)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 大輔 (財)東京都臨床医学総合研究所, 生理活性物質研究部門, 研究員 (80186618)
加瀬 良一 (財)東京都臨床医学総合研究所, 生理活性物質研究部門, 研究員 (20150203)
北川 恒代 (財)東京都臨床医学総合研究所, 循環器病研究部門, 主任研究員 (70124451)
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Keywords | α-ブンガロトキシン / 単クローン抗体 / ハイブリドーマ / 無血清培地化 / 全重水素ラベル / Fab / エピトープ |
Research Abstract |
タイワンアマガサヘビの粗毒からα-ブンカロトキシンを精製した。次にα-ブンガロトキシンを抗原としてマウス(BALB/C)を用い、常法にしたがって単クローン抗体を産生するハイブリドーマ9株を得た。長鎖神経毒タンパク質に対する単クローン抗体の作製は世界的にみてもはじめてである。9株のハイブリドーマのうちの1株について腹水化をおこない、大量の単クローン抗体MaB-2311を得た(130mg)。マウスに対するα-ブンガロトキシンの致死作用はMaB-2311により抑制されたことにより、この単クローン抗体は神経毒活性発現に必須な領域を認識していることが確認された。インドコブラ由来のトキシンB、シャムコブラ由来のトキシンIII、エラブウミヘビ由来のLSIIIなどの他のホモロガスな長鎖神経毒タンパク質との交差反応を調べた結果、α-ブンガロトシンのエピトープ部位はSer^<34>-Ser^<35>-Arg^<36>-Gly^<37>Lys^<38>に相当することを見出した。α-ブンガロトキシンの限定分解フラグメントのうち、交差反応を示したのはエピトープ配列を含むもののみであった。Arg^<36>は神経毒性発現に必須な残基であり、Arg^<36>近傍に結合するMaB-2311はα-ブンガロトキシンの神経毒性を阻害する。ついで、MaB-2311産生ハイブリドーマの無血清培養をこころみ、Trp、Pheを全重素化したアミノ酸を抗体にとりこませた。とりこみは良好であり、1lの培地から10mgの単クローン抗体を得た。NMRスペクトルの測定結果も良好であった。 今後無血清培地によるラベル体MaB-2311の大量調整システムを作るとともに、MaB-2311の一次構造を決定する。さらに二次元NMRにより、Fabとα-ブンガロトキシンペプチドとの結合様式を分子論的に解明する。
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Research Products
(1 results)