抗ガングリオシド・モノクロナ-ル抗体の特異性に関する研究

1989 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 62580141
• Research Institution: Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science
• Principal Investigator: 田井 直 東京都臨床医学総合研究所, 腫瘍免疫研究部門, 研究員 (70112092)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 多田 伸彦 東海大学, 医学部, 助教授 (80167494) ; 川島 育夫 都臨床研, 腫瘍免疫研究部門, 研究員 (40146824)
• Keywords: ガングリオシド / モノクロナ-ル抗体 / 腫瘍抗原 / メラノ-マ / 神経芽細胞腫 / 細胞障害作用

Research Abstract

我々はマウス白血病細胞株(EL4)をA/Jマウスに免疫して6種類の抗ガングリオシドGD2モノクロナ-ル抗体(A1ー201,A1ー245,A1ー267,A1ー287,A1ー410,A1ー425)を樹立した。昨年度までに(1)これら抗体の詳細な結合特異性は各々異なる。(2)シアル酸のアセトアミド基の違いを識別する。(3)ガングリオシドラクトンとも反応する。等を報告した。本年度はこれら抗体の2種類の細胞障害活性すなわち,抗体依存性細胞介在性細胞障害と補体依存性細胞障害作用を各々ヒト末梢リンパ球とヒト血清を用い、ヒトメラノ-マ細胞株とヒト神経芽細胞株を標的細胞として検討した。その結果以下の興味ある知見を得た。(1)これら抗体はGD2陽性細胞に対して強力なADCC,CDC活性を有した。(2)ADCCの効果細胞はLarge granular lymphocyte(LGL)であった。(3)抗体の腫瘍細胞への結合量とそのガングリオシド含量は良く相関した。(4)抗体の腫瘍細胞への結合量とADCC活性は相関しなかった。(5)LGLへの抗原・抗体複合体のavidityとADCC活性は良く相関した。(6)抗体単独ではLGLへのavidityは低い。(7)抗体とLGLとの結合はFcーreceptor(III)を介してでありFcーreceptor(I)ではない。(8)CDCはヒト血清存在下強い活性が認められたが,標的細胞のGD2含量とは一致しなかった。抗体結合量とADCCが相関しない原因として抗体の糖鎖部分が影響している可能性があり現在検討中である。一方抗原量とCDCが相関しない原因としては恐らくdecayーaccelerating factor等のinhibitorの存在により補体のcascadeが作動しないためと考えられる。

Research Products

• [Publications] 多田伸彦: "抗ガングリオシドGD2モノクロ-ナル抗体投与によるT細胞白血病に対する抗腫瘍効果" Oncologia. 22. 89-95 (1989)
• [Publications] 川島育夫: "抗ガングリオシドGD3モノクロ-ナル抗体R24" 化学と工業. 42. 164-165 (1989)
• [Publications] S.Hamanaka: "Strong antiーtumor effect of monosialogangliosides specific monoclonal antibody 202" J.Dermatology.
• [Publications] S.Nakamura: "Serotherapy of murine T cell leukemia with monoclonal antibodies specific for ganglioside GD2" Cancer Res.
• [Publications] T.Tai: "UCLA Symposium on Molecular and Cellular Biology" Alan R.Liss,New York, 83-92 (1989)
• [Publications] T.Tai: "Gangliosides and Cancer" VCH Publishers,Weinheim, 149-158 (1989)