1987 Fiscal Year Annual Research Report
チログロブリン分子内における甲状腺ホルモン合成反応とその制御
Project/Area Number |
62580146
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
近藤 洋一 群馬大学, 内分泌研究所, 教授 (70008598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
正 公枝 群馬大学, 内分泌研究所, 教務員
井上 金治 群馬大学, 内分泌研究所, 助教授 (50091963)
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Keywords | 甲状腺 / チログロブリン / デヒドロアラニン / 甲状腺ホルモンの生合成 / タンパク質の構造と機能 |
Research Abstract |
本研究では甲状腺の特異的タンパク質チログロブリン(Tg)分子のホルモン合成に関連する構造的特性を調べ, 効率の高いホルモン合成機構を明らかにしようとした. Tgは330Kサブユニット2つからなる球状タンパク質である. チロシン残基のヨウ素化, 2個のヨウ素化チロシンのカップリングによりドナーヨードチロシン残基からヨードフェニル基がアクセプターヨードチロシン残基に移り, ホルモン残基となる. アクセプター残基はサブユニットあたり数個しかなく, 数種の動物につき, 一次構造上の位置が特定されている. 我々はドナー残基がデヒドロアラニン(△Ala)残基としてペプチド中に保持されることを4アミノフェノールによる△Alaの特異的反応により証明したが, 本研究では同じ反応を利用してウシTgの△Ala残基をラベルした後, リジルエンドペプチターゼによる部分水解物から, 固定化反応試薬によって△Ala残基を含むペプチドのみを回収し精製した後, エドマン分解によりアミノ酸配列を調べた. その結果, 1)精製したペプチドの中3個はN末端から900-1500番に含まれる3ケ所のアミノ酸配列に, 2)1個はN端から始まるアミノ酸配列に相当した. 3)アミノ酸配列, あるいは組成の分析により, N端から5番のチロシンを含む4個のドナーチロシン残基が推定された. 3)2次構造予測および親水性分析の結果, ドナー残基もアクセプター残基同様, 分子表面付近に存在すると推定され, ホルモンが分子表面の特定の位置にあると言う電顕観察と符合した. 一方, 放射性ヨウ素でラベルしたマウスTg部分水解ペプチドのSDS-PAGE分析, およびヨードアミノ酸分析, さらに, 培養ブタ甲状腺細胞を用いた実験で, これらアクセプター, ドナー残基が特にヨウ素化されやすいことが示され, ホルモン生成に必要な高次構造の存在, およびそれを維持する1次構造の特異性が推測された.
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[Publications] Y. Kondo, K. Inoue, T. Kotani, S. Ohtaki: Molecular and Cellular Endocrinology. (1988)
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[Publications] T. Kondo, Y. Kondo, N. Ui: Molecular and Cellular Endocrinology. (1988)
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[Publications] K. Sho, H. Hayashi, Y. Ohmiya, Y. Kondo: Molecular and Cellular Endocrinology. (1988)
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[Publications] K. Haraguchi, T. Endo, T. Onaya, K. Sho, Y. Ohmiya, Y. Kondo: Molecular and Cellular Endocrinology. (1988)
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[Publications] 奥山隆 編 近藤洋一,樽谷修: "甲状腺の生理活性物質 動物成分利用集成-陸産動物篇" R&Dプランニング, 12 (1987)