1987 Fiscal Year Annual Research Report
副腎皮質アルドステロン生成酵素の実体とその活性調節機構
Project/Area Number |
62580155
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
三谷 芙美子 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60041852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石村 巽 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (40025599)
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Keywords | アルドステロン / 鉱質コルチコイド / 副腎皮質球状層 / アンギオテンシン / チトクロームP_<450> |
Research Abstract |
近年デオキシコルチコステロン(DOC)からコルチコステロン(COR)を生成する酵素, P_<450 11β>は, in vitroの再構成系においてアルドステロン(ALD)までをも触媒することが報告され当研究室でも確認した. しかし, 生体内でもP_<450 11β>のみが糖質コルチコイド及びALD両方の生合成に関与するならばALDが副腎の球状層(zG)からのみ分泌されるという古くから知られている事実や, CORは分泌するがALDを分泌しえない先天性代謝異常症の存在を説明しがたい. よって62年度は, DOCからALDへ至る反応が一つの酵素で触媒されるか否かを検討する目的で, 牛副腎zGのミトコンドリア(Mit)分画及びステロイド放射性化合物を用い, この間の中間体と考えられるステロイドの添加効果をみた. いずれも活性に対する有意な稀釈効果は得られず, DOCは酵素に結合するとその後に続く反応中間体は途中で一度も離れることなくALDまで導かれることを示唆する結果となった. しかし一方, 低Na食又は低K食で飼育したラットのzGのMitにおいて次の3点が明らかとなった;(1)低Na食で飼育した場合, DOC, COR, 18-OH CORからALD生成はいずれも2〜4倍増加するのに対し, 低K食では30〜60%に減少する. (2)これに対しDOCの_<11β>並びに18水酸化反応は低Na, 低K食いずれの場合も殆ど影響を受けない. (3)低Na食で飼育したラットzGのMitにはP_<450 11β>の抗体と反応する本来のP_<450 11β>よりやや分子量の小さい分子種が新たに出現する. この分子種は同じ低Na食ラットの副腎束状層や正常ラットには存在しないことからALD合成能の強い酵素蛋白であると考えられた. 62年度は更に当研究室において牛ガエルの副腎からALD生成能の高い蛋白分画の精製を試みたので63年度はこの経験を活かし, 低Na食で飼育したラット副腎zGよりこのALD生成能の高い分子種を精製しその諸性質, 調節因子を明確にする.
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