1987 Fiscal Year Annual Research Report
無担体トリチムガスのin-situ測定用電離箱検出器の開発
Project/Area Number |
62580176
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
松山 政夫 富山大学, トリチウム科学センター, 講師 (90135004)
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Keywords | 無担体トリチウム / トリチウム濃度 / トリチウム測定装置 / 小容積電離箱 / 高濃度トリチウム / トリチウム圧 / in-situ測定 |
Research Abstract |
D-T核融合反応実験装置や高濃度トリチウム取扱い装置のトリチウムプロセスにおいて, 取扱われるトリチウム濃度は, 無担体(2.6Ci/cm^3)またはこれに近い濃度となる. 本研究では, このような高濃度のトリチウムをin-situに測定できる通気型電離箱を製作し, その印加電圧特性および圧力依存性等の性能試験を行い, 高濃度トリチウム測定装置としての適用性を検討した. 尚, 当該電離箱の設計に当たり, 電離箱の容積はできる限り小さくして測定に必要なトリチウム量を少なくすること及びトリチウム取扱い装置に容易に取り付けられる構造とすることなどについて特に配慮した. 製作された電離箱は, 容積が約2cm^3と小さく, また市販のVCR継手を用いてトリチウム取扱い装置に容易かつ確実に接続できる構造である. 印加電圧特性は, 当該電離箱に重水素とトリチウム(9.5%)との混合ガスを0.01から1気圧までの範囲で導入して調べた. その結果, いずれの圧力でも電離電流は印加電圧が数V〜20Vの範囲で急速に増加し, 約20V以上で飽和に達し, 良好なプラトーがあらわれた. 即ち, 測定に際しての印加電圧としては20V印加すれば良いことが分かった. また, 1気圧付近のトリチウムガスに対して得られた飽和電流は, トリチウム濃度から予測される飽和電流値の約70%であることが知られた. このように飽和電流が減少した原因は, 1気圧の重水素中におけるβ線の飛程が電離箱の内径よりも約2倍大きいために, 電離箱の器壁で消費されるエネルギーの割合が大きくなったためと考えられる. 更に, 圧力変化に伴う電離電流の変化を調べた結果, 0.5から1気圧までの範囲では, 電離電流と圧力との間にほぼ直線関係が成り立つことが知られた. 以上より, 本研究で製作した小容積電離箱は, トリチウムプロセスにおける高濃度トリチウム測定装置として十分に使用できることが明らかとなった.
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Research Products
(1 results)