1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62580178
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
菊地 義弘 神戸大学, 工学部, 助教授 (60111928)
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Keywords | 燃焼 / ナトリウム / プール火災 |
Research Abstract |
本年度は主として定常燃焼に関する研究を行った. (1)まず,実験に先立ち, 各種パラメータが燃焼現象に及ぼす影響を調べるため, 定常燃焼解析コードを開発した. 本コードでは, 今まずのナトリウム火災事故解析で無視されていた蒸気拡散領域を考慮することによって, より現実的なモデル化を行った. その結果, 既存の事故解析コードでは火災温度や燃焼率を過小評価していたことが明らかになった. また, 反応生成物の種類によって燃焼率が大きく影響されるので, 今後, 実験によって反応生成物を同定する必要がある. (2)一方, 実験的研究は, ステンレス鋼製燃焼容器(400mm^φ×500mm^H)内に設置した定常燃焼試験部を用いて行った. 試験部のナトリウム(25g)を電気ヒーターにより所定の温度まで加熱した後, 試験部の蓋を開けることによりナトリウムを発火させる. その時, ナトリウムや雰囲気ガスの温度, 圧力を, それぞれ, 熱電対, 圧力変換器により連続同時測定するとともに, 燃焼現象をビデオにて撮影することにより火災構造を調べた. その結果, ナトリウムの燃焼は石油のそれにくらべて火炎の高さが非常に小さく, 液面附近に限られることが明らかになった. このことは, 上述した解析コードによる計算結果と一致しており, 解析コードの妥当性が検証されたことになる. 実験パラメータとしてナトリウム温度, 雰囲気の酸素濃度などを変化させて, 燃焼現象に及ぼす影響を調べたが, 燃焼中のナトリウム温度は最高750°Cであった. また, 酸素濃度が5%以下ではナトリウムが発火しないことが明らかになり, ナトリウム火災の消火に当って有益な情報が得られた. 燃焼継続時間は雰囲気の水蒸気濃度によって大きく左右されることもわかり, 今後は水蒸気濃度を制御して実験を行う必要がある.
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