1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62580189
|
Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
中里 亜夫 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (60044343)
|
Keywords | 牛疫 / 朝鮮牛 / 牛馬の全国市場 / 朝鮮半島 / 山口県下関市 |
Research Abstract |
1.『牧畜雑誌』や『中央獣医会雑誌』等の文献や『門司新報』等の新聞記事などから牛疫関係資料を収集し、その整理と分析を行なった。その結果、国内の牛疫流行は(1)朝鮮半島・中国大陸等での牛疫流行と密接な関連があること。(2)国内の既存の牛馬流通経路の延長線上に新たに形成された都市部のターミナル市場(主に屠牛・乳牛の取引)を中心にして展開したことが明らかとなった。 2.山口県下関市や大分県臼杵市等でのヒアリングでは、朝鮮牛輸入業者・牛馬商の多くは、下関在住の道森万次郎(1843生)を中心にして成長し、朝鮮半島と日本国内における朝鮮牛取引・流通機構をつくりあげてきた経過を明らかにし得た。特に、朝鮮取引・流通機構を明らかにしたことにより、日本の明治末期に確立した牛馬の全国市場の全容が明らかとなる見通しを得た。 3.今後、この牛疫流行研究は、特に社会経済史学などとの関連をもたせる必要を感じており、この研究成果を、社会経済史学会や経営史学会などで報告・発表したい。そこでは、単に牛疫流行が牛馬の全国市場形成に及ぼす影響のみならず、日本の近代を考えていく一視点としての牛疫研究が可能となるのではと期待している。 4.なお、研究成果は、人文地理学会歴史研究部会(平成元年3月18日、京大会館)で報告。さらに経営史学会九州支部(4月22日、西南大学)、歴史地理学会(5月27・28日、城西大学)で報告予定であり、報告書のまとめの他に、論文として投稿していく予定である。報告書は、写真印刷の為に、予想以上の時間がかかり、期限にまとめ得なかった。総ページ70、A4判を予定。
|