1987 Fiscal Year Annual Research Report
日本古代律令期に敷設された直線的計画道の復原的研究
Project/Area Number |
62580192
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
木下 良 国學院大学, 文学部, 教授 (80078287)
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Keywords | 直線的古代道 / 古代道の通過地形 / 『延喜式』駅路 / 瓦葺駅館 / 条里余剰帯 / 地名「立石」 |
Research Abstract |
初年度の本年は準備段階として, 既往の研究実績の収集・整理, 基礎資料として地図・空中写真の購入, 関連分野の考古学的発掘調査結果の収集を主に行なったが, 夏期休業を利用して8月19〜28日の9泊10日で山陽道駅路の現地調査を実施した. 調査は駅路の通過地を地形的に検討することを主眼とした. 従来から, 駅路は原則的に海岸を避けて, 内陸盆地や谷沿いに通るとされており, その原則を確認したが, 長門国埴生駅想定地が海岸に位置することが疑問視される. 調査結果の主点は以下のとおりである. 1.駅路の通過地形-峽谷部は通過地として不適当で, 特に河川の攻〓斜面を避けて峠越えの通路をとる. 2.瓦葺駅館-山陽路では特に駅館を瓦葺きにすることが規定されているが, 現在までには播磨国の全駅と, 他国では数駅が確認されているにすぎない. 今回の調査では, 吉備氏の館ないし寺院とされていた岡山県小田郡矢掛町東山の伝吉備公館跡(下通廃寺)は, 大同2年以後に廃されて『延喜式』に不記載の備中国の1駅である可能性が強い. 3.立石について-地名「立石」または実在の立石は, 駅路に関係するものが多いことは, 既に本研究代表者が指定しているが, 今回の調査においても数例を加えた. 4.道筋確認について-既に確認している播磨国以外では, 備前・備中・備後・安芸・周防の諸国において, それぞれ条里余剰帯によって一部の駅路道筋を確認した. 春期休業期間中には, 南海通駅路の現地調査を実施する予定である. この他に, 三菱財団の助成を受ける三丹(丹波・丹後・但馬)地方学術調査(代表, 瀧川政次郎)の一環として, 京都・鳥取間の山陰道駅路(丹後支路を含む)の調査を7月17〜24日に実施したが, 大同3年に廃された三駅について新見解を得, また駅路の具体的経路についても, 従来の想定とは若干異なる想定に達した.
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[Publications] 木下 良: 加能史料会報. 3. 4-8 (1987)
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[Publications] 木下 良: 講座 考古地理学. 5. 53-72 (1988)
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[Publications] 木下 良: 斎藤忠先生頌寿記念考古学叢考. 33-68 (1988)