1987 Fiscal Year Annual Research Report
放射冷却に及ぼす都市面構造の影響に関する基礎的研究
Project/Area Number |
62580198
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 守 筑波大学, 地球科学系, 講師 (10153644)
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Keywords | 都市気候 / 長波放射収支 / 放射冷却 / 都市面構造 / 遮蔽率 / 遮蔽効果 |
Research Abstract |
都市の高温現象の成因は複雑なため, 定量的な解明は不十分である. 成因を定量的に解明するには, 都市環境による熱エネルギーの改変像を捉えるしか方法はない. 本研究では, エネルギー収支的解析の第一歩として, 夜間の放射冷却量に直接関与している長波放射成分が複雑な都市面構造をもつ都市環境内で如何なる改変をうけているかについて, 野外観測に基づき考察した. 1.研究対象都市は筑波研究学園都市(つくば市)と土浦市である. 前者は新計画都市でビルが散在し公園などのオープンスペースが調和よく配置され後者は典型的な地方都市で低中層建築物が密集しており, 両都市の構造は対照的である. 学園都市の119地点, 土浦市の89地点において, 建物等の都市構造物が天空に占める割合(遮蔽率)を魚眼レンズを用い撮映・計測し, 両都市の遮蔽率の空間分布図を作成した. その結果, 両都市の都市面構造の特性を定量的に明らかにすることができた. 即ち, 学園都市の遮蔽率は全般的に小さく, 都市域の多くが5%程度で粗は都市構造をもつのに対して, 土浦市街の遮蔽率は10%以上の地域が広く分布し, 密な都市構造をもっている. 2.両都市の3ケ所における長波放射・路面温度・壁面温度・気温の連続観測(計5夜間)と, 両都市の各15地点における移動観測(計20回)を寒候期に実施した. その結果, 従来, 1ビル空間内でしか確かめられていなかった長波放射に対する都市面構造による遮蔽効果の影響を, 多地点における資料から実証できた. 遮蔽率と各放射成分の間にはほぼ直線関係がみられるが, 温度場も関与していることが示唆されており, その厳密な実験式化は今後の解析に待ちたい. なお, 大都市での検証, 異質な都市構造をもつ都市全域での長波放射の空間分布, そして遮蔽率以外の都市面構造の指標の抽出については, すでに計画を進めている. また, 本研究の成果の一部は今年の春季の地理学会・気象学会にて発表する.
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Research Products
(1 results)