1989 Fiscal Year Annual Research Report
主要活断層発掘調査地点周辺の地形・地質学的精密調査
Project/Area Number |
62580201
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
岡田 篤正 愛知県立大学, 文学部, 教授 (90086174)
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Keywords | 活断層 / トレンチ発掘調査 / 活構造 / 阿寺断層 / 中央構造線 |
Research Abstract |
阿寺断層は地質調査所や申請者らが幾つものトレンチ発掘調査を行った活断層である。各トレンチ間でのEventを相互に比較・検討したところ、主断層ではいずれも同じような活動間隔をもつので、大規模な地震を起こしてこれらがいちどきに動くことが判った。また、この断層系は複雑なパタ-ンをもっていることから、約1-5万分の1の空中写真判読を行い、詳細な断層分布図を作成した。その結果、幾つものセグメントに分かれること、方向性や活動度が相互にかなり異なること、北西部では幾つもの活断層に枝別れすること、などが判明した。 最近、四国縦断および横断の高速自動車道の工事が進行しており、数多くの中央構造線活断層系の露頭が現れている。また、高速道に沿う詳しい調査成果や資料が得られ、これらを入手したので、現在それに検討を加えている。縦貫自動車道の建設では、中央構造線の断層破砕帯の幅や状況の詳細が判った。破砕帯と断層面は断層崖に沿う地すべりないし重力性クリ-プによって斜面下方に変形している。 四国の中央構造線に沿う地域の調査によって、段丘堆積物の中から^<14>C年代測定試料や火山灰をさらに数多く得た。現在分析中であるが、変位測度や活動時期について相互に試料を検討している。また、かつて、阿波池田町市街地の南西方などでは、大規模な地すべりが中央構造線を乗り越して発生したと推定したが、新しい露頭の出現でそれが証明された。こうした現象に伴う地質構造と本来の活断層に付随する構造との違いを解明中である。 九州の中央構造線や活断層に関しては、東京大学出版会から「九州の活構造」を刊行した。5万分の1地形図を基図として、それに活断層のみならず、地形面・地すべり・火山などの分類を行った。これによって、九州の活断層の実体がきわめて詳しく判明し、今後の建設や計画、さらに郷土学習などにも貢献できると思われる。
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[Publications] 跡津川断層トレンチ発掘調査団・岡田篤正ほか: "岐阜県宮川村野首における跡津川断層のトレンチ発掘調査" 地学雑誌. 98(4). 440-463 (1989)
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[Publications] 岡田篤正・中田高・堤浩之: "トレンチ掘削調査による中央構造線活断層系岡村断層の活動時期と変位量の解明" 地学雑誌. 98(4). 489-491 (1989)
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[Publications] Okada,Atsumasa: "Holocene activity of the Median Tectonic Line of the Southwest Japan." Journ.Geod.Soc.Jap.35(2). 165-170 (1989)
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[Publications] 東郷正美・岡田篤正: "鈴鹿山地東麓・大安町付近における一志断層系の性状" 活断層研究. 7. 71-81 (1989)
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[Publications] Tsutsumi Hiroyuki,Okada Atsumasa,Nakata Takashi: "Holocene activity of the Median Tectonic Line of the Southwest Japan by trench excavation surveys." Journ,Structural Geol.(1990)
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[Publications] 米倉伸之・岡田篤正・森山昭雄: "変動地形学-成果と評価- -1988年度秋季学術大会シンポジュ-ム-" 地理学評論. 62. 225-240 (1989)
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[Publications] 九州活構造研究会編(委員長として編集および著作): "九州の活構造。付図4葉および参考資料。" 東京大学出版会, 553 (1989)
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[Publications] 米倉伸之・岡田篤正・森山昭雄編著: "変動地形学" 古今書院, (1990)