1988 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62580203
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
有坂 文雄 北海道大学, 薬学部 (80133768)
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Keywords | バクテリオファージ / 収縮性尾鞘 / 尾鞘蛋白質 / プロテアーゼ限定水解 / ウェスタンブロッティング / ドメイン |
Research Abstract |
1.gp18のドメイン構造の検討:gp18はシースの状態ではプロテアーゼによって全く切断を受けないが、単量体の状態では種々のプロテアーゼによって切断を受け、トリプシンでは分子量27k、キモトリプシンでは29k、サーモライシンでは26k、またリシルエンドペプチターゼ(API)では42kと31kの、プロテアーゼ抵抗性断片を生じる。これらのプロテアーゼ抵抗性領域の一次構造上の位置を同定するために、各断片を調製用SDS電気泳動により分離し、各消化断片を電気泳動的に抽出した。これらの断片のアミノ酸配列分析を行い、N末端を決定し、更に分子量とプロテアーゼの基質特異性を考慮することにより、トリプシン消化断片27kはAla82〜Lys316、キモトリプシン消化断片29kはGly74〜Phe333、サーモライシン消化断片26kはVa183〜Asp313であると同定され、プロテアーゼ抵抗性領域は、およそ残基番号80〜310までの領域であることがわかった。APIの場合、42k断片はAsp302〜Gly658(gp18C末端)であったが、31k断片は2つのペプチドの混合物であって、一方がGlull〜Lys301であるのに対して、他方はAsp302〜Lys568であった。APIはその高い基質特異性のために、他のプロテアーゼでは切断されやすいC末端領域が切断されずに残るものと考えられる。尾鞘は外に大きく突き出した部分を持っており、この部分がプロテアーゼで切断されないことから、これが上記のプロテアーゼ抵抗性領域である可能性が高いと考えられる。更に種々の抗血清を用いてイムノブロッティングを行い、gp18のトリプシンとAPIによる限定水解中間体を同定することにより、切断の順序を決定した。 2.光-CIDNP法によるgp18のチロシン残基の検出:2個のチロシン残基が検出され、その2つのピークはgp18をニトロ化することによって消失した。なお、収縮したシースの結晶化およびミュータントの変異部位の同定については現在進行中である。
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[Publications] Fumio,Arisaka: Journal of Protein Chemistry. 6. 247-253 (1987)
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[Publications] Fumio,Arisaka: Journal of Virology. 62. 1186-1193 (1988)
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[Publications] Fumio,Arisaka: Journal of Virology. 62. 882-886 (1988)
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[Publications] 有坂文雄: 生物物理. 151. 95-100 (1987)