1987 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌の新しい遺伝子dnaRと新局面をもつdnaK遺伝子の機能的解析
Project/Area Number |
62580216
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Research Institution | 国立予防衛生研究所 |
Principal Investigator |
榊原 祥公 国立予防衛生研究所, 化学部, 室長 (10072927)
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Keywords | 大腸菌のDNA複製 / dnaK遺伝子の機能 / dnaR遺伝子の機能 |
Research Abstract |
1, dnak遺伝子の機能 (1)温度感受性dnak111株は, 高温にさらした時, 既に開始していたDNA合成を継続して終結することはできるが, 新たに開始することができず, 低温に戻した時, 複製を同調的に開始することがわかった. このことはdnak遺伝子が複製の開始に関与していることを示す. (2)大腸菌の複製起点を含むoriCプラスミドを鋳型とするinvitroDNA合成系を用いて, dnak遺伝子産物が複製に直接関与していることを明らかにした. つまり, dnak111株から調整した粗酵素画分はdnak+株からの画分と比べてoriCDNA合成活性が低く, その欠損はDnak蛋白質の添加によって補われた. Dnak蛋白質がその開始過程で働いていることを検証するための準備を進めている. なお, 当項目の成果は国立遺伝学研究所の安田成一助教授との共同研究による. 2, dnaR遺伝子の機能 (1)温度感受性dnaR130株は, 高温にさらした時, DNA合成を直ちに停止し, 複製の継続過程に欠損をもつ. しかしながら, 大腸菌のDNA合成酸素に依存して複製するcolE1プラスミドや入ファージがdnaR130変異の影響を受けずに増殖することがわかった. このことは細菌添色体複製の継続過程に従来理解されている機構では説明しえない局面があることを示している. (2)dnaR変異株の欠損は培地に高濃度の食塩を加えることによって補われる. 食塩を加えて直ちに高温に移した時, 一旦回復したDNA合成が細胞分裂と共に一時的に停止する. この時, 複製の開始がその継続に比して優先的に抑えられる傾向がみられ, 複製の開始が律速となっていると思われたが, 未だ結論づけ難く, 更に検討を進めている.
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Research Products
(1 results)