1988 Fiscal Year Annual Research Report
X線小角散乱法によるフィトクロム光変換に伴う構造変化の研究
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62580225
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Research Institution | Okazaki National Resarch Institutes |
Principal Investigator |
徳富 哲 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (90142009)
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Keywords | X線小角散乱法 / フィトクロム / 蛋白質の高次構造 / 蛋白質の分子内領域構造 / シンクトロン放射光 / コントラスト変調法 |
Research Abstract |
フィトクロムは緑色植物に存在する色素蛋白質で、様々な赤-近赤外光可逆的な生理反応の光受容体であり、近年光による遺伝子発現調節反応の光受容体としても注目されている。上記諸反応はフィトクロムが赤色光吸収型Prから近赤外光吸収型Pfrにに光変換する事によって誘発されると考えられているが、その情報変換機構は未知である。そこで光情報変換の分子機構に関する知見を得るべく、シンクロトロン放射光を光源としたX線小角散乱法(SAXS)を用いてその高次構造の解析を行なった。SAXSの測定は、高エネルギー物理学研究所・放射光実験施設共同利用実験を申請(課題番号86-106)して行なった。 63年度は62年度に得られたフィトクロムのSAXS測定の基礎データを基に、更にフィトクロムを酵素処理して得られるN-末端含発色団ポリペプチドについても同様な測定を行った。同ポリペプチドの構造はフィトクロム分子内の含発色団領域の構造を保って居ると考えられ、同ボリペプチドについて得られた結果と、前年度得られたフィトクロムについて得られた結果を組合せてその分子モデルの解析を大型計算機により行った結果、分子内領域構造を含んだフィトクロムの分子構造の解明に成功した。得られた分子モデルを日本生物物理学会第26回年会(10月名古屋)で講演発表し、論文をFEBS Lettersに投稿し、受理された。更にコントラスト変調法を用いた測定をフィトクロムおよびN-末端含発色団ポリペプチドについて行ない分子内の電子密度分布に関する解析を行い、得られた結果を利用して先に提出したモデルの改良と精密化を行った。同結果はまとめて論文執筆中でBiochemistryへ提出予定である。
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[Publications] Satoru Tokutomi.: Biochim.Biophys.Acta. 957. 297-305 (1988)
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[Publications] Satoru Tokutomi.: FEBS Letters. (1989)
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[Publications] Masayoshi Nakasako.: Biochemistry,. (1989)
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[Publications] Satoru Tokutomi.: "Small angle X-ray scattering,a usuful tool for studing the structure of phytochrome.in "Phytochrome & Photoregulation in Plants"" Masaki Furuya, 12 (1987)