Research Abstract |
本年度は, 因果的検索を含まない問題について, 学習者による不完全な問題記述を基に, 問題解決に使える知識の検索を支援する対話機構を完成させることができた. これは, 本年度の主な計画として掲げたものである. 具体的には, 学習者が問題記述を行って, その中で必須仕様を指定すると, システムは, 検索パターンをつくって, その仕様を満たす知識の候補を探すのであるが, この際, 知識記述の任意の要素をインデクスとするデータベースを手掛りとして用いる. 見出された一般に複数の候補の中から, 優先度の順に提示するが, 知識の適用条件において, 問題記述ならびに, それを基にフレーム階層を用いて導かれる記述とから, 証明されない部分が少ないものに高い優先度を与える. 学習者は, この提示を見て, 自分の問題記述における誤りや不足に気付いて, 修正することができる. 提示された候補の中から知識を選び, 適用を行い, その結果, 一般に生ずる副問題のアタックを決定するところ迄, 全て学習者が行うが, システムは, これらの各フェーズにおいて, チェックとメニュー呈示の支援を行う. 知識検索を視覚的に支援する為に, 単純なグラフィック端末に替えて, 極めて柔軟なヒューマンインタフェース構築機構を有するマッキントッシュSEを購入した. これをワークステーションから制御する試みが進行中であるが, 構造的メニューと描画によって学習者を誘導する仕組みをつくるのは次年度に持ち越された. 因果的検索を含む問題解決の支援については, フレーム問題を避け, 定性的記述を容易にする方法として, システムに, 粗い時空間モデルを持たせることを検討している. また, 学習者モデルについては, 知識表現に大きく依存するので, 多様な水準の知識表現を完成するまで煮つめることはしないこととした.
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