1987 Fiscal Year Annual Research Report
中・高等学校の一貫性を重視した化学教育カリキュラムに関する基礎的研究
Project/Area Number |
62580257
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Research Institution | Osaka Prefectural Education Center |
Principal Investigator |
増井 幸夫 大阪府科学教育センター, 化学教室, 室長 (80125260)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
馬路 英和 大阪府科学教育センター, 化学教室, 指導主事 (10199680)
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Keywords | 化学教育 / 指導内容 / カリキュラム / 中・高一貫 |
Research Abstract |
今回の教育課程審議会答申によれば, 中学校は義務教育としての完結性にも増して, 中等教育の前期という位置づけが強調されている. 高等学校への進学率が90%を越える今日では当然のことであろう. つまり, 中・高等学校の関連性(連続性)が一層重要になる. その関連性については, 前回の改定の時にもいわれていることでもあるが, こういう視点で中・高等学校における化学教育とその内容をみると, 特に中学校段階で化学(理科)ぎらいが急増する現実とその状態がそのまま持ち込まれる高等学校の実情を考えると, いろいろな問題点があるように思われる. 本研究では, 自然科学の中の化学として, 中・高校生の自然観(物質観)を育成するための中・高等学校一貫を重視した指導内容としてどんなことが考えられるかを検討するものである. 本年度実施した中学校における基礎的調査から得られた知見のいくつかを以下にのべる. (これらについては, 近畿教育研究所連盟研究発表会で発表した). 今や, 毎日の暮らしは物質なくしては成り立たない. 身の回りには物質が氾濫している. しかし, 今回の調査結果によれば, 中学生は物質を知らない. 薬品棚の薬品だけが物質であるかのように思っている. また, 暮らしに役立っている物質が化学によってつくり出されていることの意識もない. 中学校における化学の内容や指導に問題があるのではないかと考えられる. また, 観察・実験の実施状況についての調査結果によれば, 生徒実験, 教師による演示実験, 共によく実施されているように見受けられる. しかし, 傾向としては, 一年生では比較的多い生徒実験が, 学年が進むにつれてその実施率が低下する. 代って, 教師実験の実施率が増えてくる. 観察・実験がよく行われているようでありながら, 生徒の定着率が低いのは, 一つにはこのような状況によるのではないかと思われる. 化学は観察・実験を中心に学習が進められることの必要性が, この結果からも伺える.
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