1987 Fiscal Year Annual Research Report
重金属特異反応生物の検素・育成と育成生物の環境適合性
Project/Area Number |
62602010
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
茅野 充男 東京大学, 農学部, 助教授 (10007677)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 和夫 公害研究所, 室長 (90109918)
斉藤 寛 長崎大学, 医学部, 教授 (80004901)
小畑 仁 三重大学, 農学部, 助教授 (70024594)
中原 英臣 山梨医科大学, 医学部, 助教授 (10056997)
森 忠洋 島根大学, 農学部, 教授 (20166359)
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Keywords | 重金属耐性 / 重金属感受性 / カドミウム / メタロチオネイン / β2-マイクログロブリン / 細胞培養 / プラスミド / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
本研究はバイオテクノロジーで培われた技術を応用し, 重金属を多く蓄積したり排除したりする重金属特異反応生物を探索し, その育成をはかり, 人間-環境系における重金属の循環を合理的なものにしようとするものである. 本研究は対象となる生物種によって, 微生物, 植物, ヒト・動物グループの3グループにわけられる. 1)微生物:重金属汚染土壌や排水中より亜鉛耐性菌を17株探索分離し, アガロースゲル電気泳動によりプラスミドpZnC8, pZnC17を検索した. これらのプロスミドを用いたE.coli C600-1株を形質転換すると頻度10^4で亜鉛耐性菌が出現した. これよりpZnC8およびpZnC17にY8およびY17の亜鉛耐性因子がコードされていることがしめされた. また, 大腸菌細胞内への水銀の取り込みを促進する因子をコードしているプラスミドmerTを用いてプラスミド脱落率の変動を検討する実験を実施した. その結果, プラスミドの脱落率は0.1〜3.4%であり, ブイヨン培地より汚泥中で脱落率が低い値を示した. 2)植物:タバコとイネの培養細胞にCdストレスをかけ, 細胞のCd耐性の限界を知ると共に, 耐性株誘導に関する基礎的知見を得ようとした. その結果, タバコにおいては培地Cd濃度が10^<-2>mMを越えると通常の細胞は生育が顕著に不良となり, 3×10^<-1>mMで生育は停止した. ところが高濃度Cdに耐性の細胞株が得られ, それは0.3mMのCdに耐性であった. 耐性株にはメタロチオネイン様と類似の物質の集積が見られた. 3)ヒトおよび動物:メタロチオインを動物体内で効率よく検出する手法を開発し, それをもとに重金属耐性の昆虫コカゲロウ中の重金属結合タンパクを分離定量した. その結果この昆虫ではCu.Cd.Zn各々と結合するタンパクは互いに異なっていた. 経気道的に吸収されるCdの毒性が経口的に吸収されるものより高い事についても検討し, 経気道的に吸収された場合, 体内におけるメタロチオネイン誘導能が低下することによると推定した.
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Research Products
(9 results)
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[Publications] 茅野充男: 農業および園芸. 62. 91-96 (1987)
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[Publications] 茅野充男: ぶんせき. 1. 92-96 (1987)
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[Publications] 茅野充男: 微生物. 3. 50-55 (1987)
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[Publications] 森 忠洋: 水質汚濁研究. 10. 415-422 (1987)
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[Publications] K.Kitagishi: Soil Sci.Plant Nutr.33. 423-429 (1987)
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[Publications] C.Tohyama: J.Toxicol.Environ Health. 22. 255-259 (1987)
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[Publications] H.Sunaga: J.Liq.Chromatogr.IN PRESS.
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[Publications] K.T.Suzuki: Comp.Biochem.Physiol.IN PRESS.
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[Publications] E.Kobayashi: Eisei Kagaku. 33. 409-414 (1987)