1987 Fiscal Year Annual Research Report
金属-有機化合物複雑混合系での有機金属化合物の生成機構並びに環境と制御
Project/Area Number |
62602033
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 武 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助教授 (60093358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊永 隆史 岡山大学, 工学部, 助手 (30124788)
山田 悦 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教務員 (30159214)
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Keywords | 水銀 / ヨウ化物イオン / 還元気化原子吸光法 / フローインジュクション法 / 酸化還元電位 / 疑似ポーラログラフ法 / 膜分離 / 環境解析 |
Research Abstract |
金属有機化合物複雑混合系での有機金属化合物の生成機構並びに循環と制御の研究を行う為には, まず, 複雑混合系での正確を水銀の分析法が必要である. しかし, 水銀の還元気化原子吸光分析法では, ヨウ化物イオンが存在すると, 水銀が検出出来ない. この原因をASV法を用いた疑似ポーラログラフ法によりヨウ化物イオン共存下等での希薄水銀化合物の酸化還元電位を測定により解析した. 得られた半波電位とヨウ化カリウム濃度の関係より, Sin(II)では, ヨウ化物イオン濃度が0.01mM以上で水銀が還元されなくなるのが解かった. この結果は公定法におけるヨウ化物イオンの干渉の測定結果と良い一致が得られている. 又, Sn(II)に水素化ホウ素ナトリウムを添加すると, 還元力が極めて強くなるのが解かった. この結果を基に酸性下での精密分析法として硫酸酸性下でSn(II)と水素化ホウ素ナトリウムを併用する水銀の還元気化原子吸光を開発した. 本法は操作が非常に簡便であり, 再現性が良く, 迅速な分析が可能であるという特徴を有する. 本法を大学の研究室から排出された廃液及び構内排水など実試料に適用し, 公定法及びアルカリ法との比較を行った. その結果, 多量のヨウ化物イオンが存在していても妨害なく定量が出来ることがわかった. 又, 環境中での有機水銀化合物の循環解析へ応用することを目的として, 流通式水銀連続計測装置の試作を行った. 本装置は, 公定法に比べ強い水銀の還元条件の使用, 流通式による酸化還元電位と反応時間の精密制御, 並びに還元気化により発生した水銀蒸気分離に多孔質テフロン細管から成る二重管を用いていることが特徴である. 又, 検出器としては, 水銀ランプを光源とした原子吸光光度計を用いた. 検出感度は1μg/1が容易に得られた. この感度はバッチ式の水銀分析装置と同じであり, 十分環境水中の水銀の定量が出来る.
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[Publications] 伊永隆史: 分析化学. 36. 194-198 (1787)
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[Publications] 伊永隆史: 大学等廃棄物処理施設協議会会報. 4. 40-43 (1987)
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[Publications] 伊永隆史: 大学等廃棄物処理施設協議会会報. 5. (1988)
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[Publications] 山田 武: 環境科学シンポジウム講演報告集. 97-97 (1987)
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[Publications] 加瀬野悟: 環境科学シンポジウム講演報告集. 118-118 (1987)
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[Publications] 伊永隆史: 環境科学シンポジウム講演報告集. 124-124 (1987)