1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62604512
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡 泰夫 東北大学, 科学計測研究所, 助教授 (60013520)
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Keywords | 半磁性半導体 / ピコ秒分光 / 励起子発光 / 磁気ポーラロン |
Research Abstract |
本研究の目的は, Mn, Feの遷移金属イオンを含む半磁性半導体, Cd_<1-x>Mn_xTe, Cd_<1-x>Fe_xSe, Zn_<1-x>Mn_xTeなどを作製し, その光物性を調べ, これにもとづいてII-VI族半導体の新しい磁気光学的機能性を開発することにある. 今年度の研究実績としては 1.ブリッジマン法により種々の組成の各種単結晶を作製した. X線解析と成分分析により, 良好な単結晶性の確認と混晶組成の決定をした. 2.作製した単結晶試料のフォルトルミネッセンスを, 低温で測定した. Cd_<1-x>Mn_xTe, Cd_<1-x>Mn_xSe, Cd_<1-x>Fe_xSeの励起子発光スペクトルは, Mn, Feモル濃度の増加とともに, 高エネルギー側に推移し, バンドギャップ変化の磁性イオン依存性の定量的決定ができた. Mn高濃度域には2.0eV付近にMnのd電子による強い発光が現れた. これらの性質は, 発光材料, 光検知器材料としての応用に重要である. 3.強磁場下の励起子発光・反射スペクトルのゼーマン効果の測定より, 磁性イオンとの交換相互作用の大きさを決定した. またスピン反転ラマン散乱の研究をCd_<1-x>Mn_xSについて行った. その結果伝導電子とMnスピンの交換相互作用によって, 巨大スピン状態が実現しており, 通常の半導体の15-30倍も大きなゼーマン分裂が起きていることが分かった. この現象は磁場同調可能なラマンレーザーや光検知器としての応用が期待できる. 4.ピコ秒時計分解分光系を整備して, 光励起により生成された励起子の超高速緩和現象を測定した. その結果, 励起子発光の時間的推移から, 磁気的ポーラロン形成のためのMnスピンの整列過程, 混晶中の励起子緩和, スピングラスなどの問題を明らかにし, この物質に特有のスピン相関を持つ励起子の動的過程を解明した. 今後はこれらの知見を, 高速応答素子としての機能性開発に結びつける必要がある.
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[Publications] Y. OKA: J. Luminescence. 38. 263-265 (1987)
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[Publications] M. TANIGUCHI: Solid State Commun.62. 431-434 (1987)
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[Publications] H. FUJISAKI: Proc. 14th Congress of the Intern. Commission for Optics,Quebec, Canada. 131-132 (1987)
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[Publications] 岡 泰夫: レーザー研究. 15. 128-134 (1987)
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[Publications] 相馬 出: 東北大学科学計測研究所報告. 36. 29-38 (1988)
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[Publications] Y. OKA: 6th Intern. Conf. on Ultrafast Phenomena.