1987 Fiscal Year Annual Research Report
化合物半導体におけるアンダーソン局在と巨大非線形光学効果
Project/Area Number |
62604525
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
花村 榮一 東京大学, 工学部, 教授 (70013472)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
住 篤子 東京大学, 工学部, 教務職員技官 (20114522)
永長 直人 東京大学, 工学部, 助手 (60164406)
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Keywords | 光非線形分極率 / 励起子の巨視的分極率 / 励起子の超放射 |
Research Abstract |
3次の光非線形分極率X^<(3)>が次元に強く依存することが分かった. 0次元系である量子箱や量子球においては, 最大のX^<(3)>を示す最適の大きさが存在する事が予言できた. その物理的意味は次のように理解できる. まず第一条件として, 電子・正孔間のクーロン引力が, 電子と正孔各々, 量子箱や量子球に閉じ込められることによる量子化エネルギーより大きいことを仮定する. これは, 系のサイズが励起子のボーア半径より大きい時満たされる. 第二条件として, 励起子間の相互作用エネルギーが, 入射光の励起子準位との非共鳴の大きさに比して大きいことを求める. 第一の条件下では, 励起子の遷移の双極子モーメントは系のサイズが大きいほど大きくなるが, このときには, 励起子は調和振動子として振舞うことからも分かるように, 3つの項からの寄与が消去し合って光非線形性を示せない. この励起子間の相互作用は励起子の調和振動子からのずれをもたらす. この値はサイズを小さくするほど大きくなる. これら2つの効果の競合の結果として, これらの量子箱か, 量子球を蜜に配列したときの単位体積当たりの3次の非線形分極率はある最適のサイズのときに最大値を示す. そのとき, II-VI族半導体とI-VII族半導体の量子箱と量子球ではバルク結晶に比して, X^<(3)>の10^<(3)>〜10^4の増大が期待できる. しかし, III-V族半導体では第一と第二の条件を同時に満たす領域が存在せず, X^<(3)>の増大は期待できない. これは電子の質量が軽く, 誘電率が大きい結果, 励起子効果が他の系に比してかなり弱くなり, 電子・正孔の量子効果が大きくなり過ぎるためである. 第二の成果は, 低次元励起子はその並進対称性の破れから極めて速い放射が可能である. 量子井戸系の励起子は2次元面内の巨視的双極子モーメントを持ちながら, 速い放射によって調和振動子からのいずれをもたらして, 大きな非線形分極率をもつことが期待できた.
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[Publications] Eiichi Hanamura: Solid State Communications. 62. 465-469 (1987)
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[Publications] Eiichi Hanamura & Naoto Nagaosa: Journal of the Physical Society of Japan. 56. 2080-2088 (1987)
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[Publications] H.Tanaka,M.Inoue & E.Hanamura: Solid State Communications. 63. 103-107 (1987)
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[Publications] Masami Kumagai,Toshihide Takagahara & Eiichi Hanamura: Solid State Communications. 64. 659-662 (1987)
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[Publications] Eiichi Hanamura: Physical Review B. 37. ?-?+7 (1988)
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[Publications] 花村 榮一: 応用物理. 56. 1348-1352 (1987)
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[Publications] Eiichi Hanamura (edited by S.H.Lin): "Advances in Multi-Photon Processes and Spectroscopy Volume 3" World Scientific, 1-101 (1987)