1987 Fiscal Year Annual Research Report
レーザラマン分光法によるII-VI族半導体中の格子欠陥の微視的評価
Project/Area Number |
62604528
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河東田 隆 東京大学, 工学部・境界領域研究施設・助教授教 (90013739)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸 眞人 東京大学, 工学部・境界領域研究施設, 助手 (00150285)
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Keywords | レーザラマン分光 / II-VI族半導体 / 格子欠陥 / 微視的評価 |
Research Abstract |
レーザラマン分光法によりII-VI族半導体中の格子欠陥を微視的に評価する最も基本的な検討として, まず広波数範囲に渡ってZnSeのラマンスペクトルを測定した. ZnSeは有機金属気相エピタキシー法でGaAsの(100)基板上に成長させたもので, 成長時のSeおよびZnの原料供給比すなわちVI/II比を変化させた試料を用いた. ラマンスペクトルはアルゴンイオンレーザーとトリプルモノクロメータを用い, 後方散乱の配置で室温で行った. 測定した波数範囲は50〜600cm^<-1>, である. 成長条件によらずZnSeのラマンスペクトルには, 約250cm^<-1>のLOのLOフォノン, 約207cm^<-1>のTOフォノン, 約139cm^<-1>の2TAフォノンのピークが共通して観測された. ただし, VI/II比が小さく16/13で成長させた試料ではLOフォノンの半値幅がかなり大きく, 結晶構造の不完全性を示した. また, 基板が(100)面であり, 選択則に従えば本来TOフォノンは観測されないはずであるが, すべてのZnSeからTOフォノンが観測されている. この理由はまだ不明である. また, 意図的に不純物をドープしていないZnSeから, 約500cm^<-1>の新しいピークが観測された. このピークは2LOフォノン, 不純物による局在モードあるいは両者が重畳されたものと考えられるが, まだ解明されていない. 局在モードとすれば, 化学量論的組成からのずれと関連して, 興味深い検討ができる可能性がある. 次に, ZnSeとGaAsの間に約0.2%の格子定数差があり, その影響がラマントペクトルに対してもある可能性があるため, 格子定数差を小さくするようSを添加したZnS_xSe_<-x>についてラマンスペクトルの検討を行った. LO及びTOフォノンに関してはZnSeと著しい差はなかったが, スペクトル全体の強度等について差異が生じていると考えられる徴候がみられた.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] T.Katoda and K.Yano: Proc.14th International Symposium on Gallium Arsenide andRelated Compounds,Crete, 1987. (1988)
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[Publications] N.Hara and T.Katoda: Proc.14th International Symposium on Gallium Arsenide andRelated Compounds,Crete,1987. (1988)
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[Publications] K.Yano and T.Katoda: Proc.5th Conference on Semi-Insulating 3-5 Materials,Malmo,Sweden,1988. (1988)
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[Publications] 河東田 隆: "半導体結晶" 丸善, 103 (1987)