1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62604532
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今井 庸二 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 教授 (50013975)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門磨 義則 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助教授 (00092403)
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Keywords | 細胞の付着性 / 細胞の増殖性 / 高分子材料 / 生理活性アミンの固定化 / b-アミノヘキシルチオグリコシド / 芳香族環の効果 / 親水性基の効果 |
Research Abstract |
エチレン/ビニルアルゴール共重合体(EVAL)の側鎖にイソシアナート基を導入し, そこへ次に記するアミン類を反応させてそのアミン残基をEVALに結合させた. ドーパミン(1), アドレナリン(2), ノルアドレナリン(3), ヒスタミン(4), セロトニン(5)グルコサミン(6), ガラクトサミン(7), 6-アミノヘキシルチオグルコシド(8), 6-アミノヘキシルチオガラクトシド(9). 得られたフィルム状試料の上で上皮性の株化細胞Ca.9.22を培養し, 細胞の付着性, 増殖性を調べた. (1)〜(5)の生理活性アミンを結合したものでは, 初期付着率84〜95%, 相対増殖速度0.78-0.90であり, 細胞が付着しやすく, 比較的増殖しやすかった. この傾向は, 芳香族環を側鎖に導入した場合の結果とよく対応していた. 生理活性アミンとしての効果は, 本研究でとり上げた細胞では認められなかった. 糖側は細胞の認識において重要な役割を果たしていると考えられており, ここでも(6)-(9)にとり上げた. (1)-(5)の場合と異なり, 水に対する接触角が54-58°となり, 親水性表面となった. 細胞の付着率は21-49%とかなり低下した. アミノ糖の形で反応させた(6)(7)と比べ, 6-アミノヘキシルチオグリコシドの(8)(9)においてはかなり顕著に細胞が付着しにくくなった. これは(8)(9)の方が側鎖の柔軟性が大きいためと考えられる. 糖側末端のガラクトース残基は, 細胞の認識において大切な役割を果たしていることも多いが, 本研究での細胞ではグルコース, ガラクトース残基で特に差は認められなかった. 全体として結果をまとめると, 生体関連物質をEVALに結合させても, ここで用いた細胞においては生物学的な意味での特異性は現れなかったといえる. (1)-(5)においては芳香族環の効果, (6)-(9)においては親水性基の効果が認められた.
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