1987 Fiscal Year Annual Research Report
固・気界面の制御による透明導電性高分子薄膜の合成プロセスに関する研究
Project/Area Number |
62604534
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
宮田 清蔵 東京農工大学, 工学部, 教授 (90015066)
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Keywords | 導電性 / ポリピロール / 透明性 / CVD法 |
Research Abstract |
従来の透明導電性膜, 無機半導体は, 蒸着やスパッタリング等を行って作製されており, これには真空が必要なため大面積化が困難でしかも高価格であった. また導電性高分子の分野では, 手間のかかる電気酸化重合や, 製膜のできない化学重合の方法しか知られていなかった. 我々は最近, 直接導電性高分子薄膜を化学的に合成する方法を考案した. これは酸化剤例えば酸化第二鉄と高分子を溶媒に溶かした後, 基板上にこの溶液を塗布し, 乾燥後ピロール蒸気と接触させることでピロールを重合させ, 透明導電性薄膜を生成するものである. このプロセスの確立を目指す今回の研究によって明らかになった点は, (1)反応は主に, 塩化第2鉄によってピロールから水素が引き抜かれてポリピロールが生成する. (2)酸化剤の塩化第2鉄がポリピロールのドーパントとしても機能しているため, 高い導電率が得られる. (3)FeCl_3によってポリピロールから電子が引き抜かれてホールが生成すると共にFeCl_3からドーパントとしてCl^-が供給される. キャリア濃度はドーパント(Cl^-)の濃度に比例すると考えられる. ドーピングにともなってポリピロールとFeCl_3間で, 上述したような電荷移動錯体が生成し, バンド間遷移エネルギーが小さくなって光を吸収するようになる. それ故FeCl_3の濃度が低い部分で透明性が発現しているのである. (4)高導電性の維持のためには, キャリア移動度をおおきな値にする必要がある. 気相反応には反応条件が温和なため, 側鎖や架橋が導入されず, その結果おおきな移動度の高分子が生成するのである. 以上述べたように, 今回の研究では, 透明導電性薄膜の高性能化につながる, 多くの新しい知見が得られた.
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[Publications] 宮田 清蔵: 光学. 16(2). 18-19 (1987)
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[Publications] 町田 繁: 応用物理. (1988)
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[Publications] S.Machicla: Polymer Journal. (1988)
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[Publications] Y.E.Whang: Polymer Journal. (1988)
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[Publications] 宮田 清蔵: "新・導電性高分子材料" CMC(東京), 11 (1987)
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[Publications] 宮田 清蔵: "オプトエレクトロニクスの展望(化学産業のかかわり)" ペトロテック, 12 (1987)