1987 Fiscal Year Annual Research Report
細胞-材料間相互作用における複合効果の発現に関する研究
Project/Area Number |
62604535
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
赤池 敏宏 東京農工大学, 工学部, 助教授 (30101207)
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Keywords | 肝機能シュミレーター / アシアロ糖たんぱく質モデル / ガラクトース末端を有するポリスチレン / 肝実質細胞 / 人工肝臓 / コラーゲン / フィブロネクチンレセプター |
Research Abstract |
肝機能補助装置や各種の薬物・化学物質の有効性や安全性をチェックするための肝機能シミュレーターに対する要望は日ましに強まっている. 肝細胞は接着依存型の細胞であるため, 肝細胞を固定し, 機能を持続させるための基質材料の開発が不可欠となる. 本研究において筆者らは, この条件を満たす合成基質を開発することに成功した. 肝実質細胞膜表面には, コラーゲン, フィブロネクチン, インスリン等々の生理活性タンパク質に対する特異的な相互作用サイト(レセプター)が存在する. しかしながら, これらのレセプターを利用した接着をめざす場合には, 基質に対応するたんぱく質そのものを用意しない限り, その高い特異性は実現しないことを確かめた. またたんぱく質基質を用いている限り, 品質の安全性, コスト等々各種の応用分野への貢献は期待し難い. そこで筆者らは, 基質モデルとなる高分子設計が可能であるレセプターとして, 肝実質細胞の有するアシアロ糖たんぱく質に対するレセプターに着目した. これは, 血液中の寿命のきた古い糖たんぱく(ガラクトースが露出した糖側鎖を有している), すなわちアシアロ糖たんぱく質を細胞内に取り組み分解するためのレセプターである. こうしてガラクトース末端を側鎖に有するスチレンモノマー(VLA)を合成し, そのホモポリマー(PVLA)や他のオリゴ糖含有スレチンとのコポリマーを合成し, 肝細胞の接着性, 生存性生化学機能などを評価した. VLAユニットを5%以上含むポリマーは, 他の多くのポリマーと異なりきわめて特異的に肝実質細胞だけを接着させ, 無血清下でも一週間以上機能(アルブミン合成, 胆汁酸合成等)を維持させることが可能であると確認された. しかも, EDTA等のキレート剤処理によりカルシウムイオンを除去すれば接着細胞を容易に脱離させることも見出された. さらにその接着メカニズムを他のレセプター関与の場合は比較した.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 黒木 仁,須田 匡,赤池 敏宏: 人工臓器. 16. 1382-1385 (1987)
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[Publications] 小林 明,赤池 敏宏: 人工臓器. 16. 928-931 (1987)
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[Publications] 小林 一清,住友 宏,小林 明,赤池 敏宏: 日本化学会誌. 1987. 575-579 (1987)
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[Publications] 赤池 敏宏 (共著): "最新バイオテクノロジー" 日刊工業新聞社, 317 (1987)
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[Publications] 赤池 敏宏 (共著): "器官形成一発生生物学から臓器工学まで" 培風館, 296 (1988)