1987 Fiscal Year Annual Research Report
ミクロ相分離した反応性ブロックコポリマー膜の微細加工による機能発見
Project/Area Number |
62604538
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中浜 精一 東京工業大学, 工学部, 教授 (90016410)
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Keywords | ブロックコポリマー / ミクロ相分離 / 多孔質膜 / 微細構造制御 / アニオンリビングポリマー / 透過膜 |
Research Abstract |
本年度は反応性基を持つブロック共重合体を合成し, その薄膜の相分離したミクロドメインを酸化分解することにより多孔質膜を得てその構造解析法を確立するところまで研究が進行した. 具体的には活性シリル基を有するスチレン誘導体, 4-(ジメチルイソプロポキシシリル)スチレン(I)とイソプレンのブロック共重合体をアニオンリビング重合によって合成し, そのミクロ構造を保ちながら加水分離-架橋とオゾン分解を行うことにより形状と大きさを厳密に制御し, 表面に官能基を持つ高分子多孔質膜の合成が可能であることを見い出した. 膜の調整とその構造解析は次のようにしておこなった. まずブロック共重合体のメチルイソブチルケトン溶液から厚さ20μmの薄膜をキャストし, 酸処理すると(I)のミクロドメインのみが架橋してミクロ相分離構造を保ったまま有機溶媒に不溶な膜となる. 次にこの膜を塩化メチレン中オゾンで分解処理し, さらにメタノールで十分洗浄して分解生成物を取り除くことにより多孔質膜が得られる. ブロックコポリマーの分子量, 分子量分布, 組成はVPO, GPC, H-NMR, 元素分析で決定した. 薄膜の架橋, オゾン分解は赤外吸収スペクトルで追跡し, イソプレンドメインが大部分酸化によって除去さ, 多孔質膜表面にカルボニル基が残っていることを確認した. 得られた多孔質膜のSEM観察をおこなったところ膜の表面, 断面共に約20mmの多数のラメラ状の細孔が見られた. これは元のブロックコポリマーをTEMで観察した際に見られるラメラ状のミクロ相分離構造と酷似しており, 共重合体のブロック鎖長を制御することにより多孔質の微細構造を設計どおりに加工できることを示唆している. またBETにより表面積測定をおこなった結果約90m_2/gの値が得られ, 中空のドメインが連続しており, 選択的な透過膜として応用が期待される.
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[Publications] A.Hirao,T.Takenaka,T.Nagawa,M.Yamaguchi,K.Yamaguchi,S.Nakahama: Macromolecules. 20(2). 242-247 (1987)
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[Publications] A.Hirao,T.Hatayama,S.Nakahama: Macromolecules. 20(7). 1505-1509 (1987)
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[Publications] K.Takenaka,A.Hirao,T.Hattori,S.Nakahama: Macromolecules. 20. 2034-2035 (1987)
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[Publications] Jae-SuK Lee,A.Hirao,S.Nakahama: Macromolecules. 21(1). 274-276 (1988)