1987 Fiscal Year Annual Research Report
新しい機能性材料としての置換ポリアセチレンの設計と合成
Project/Area Number |
62604570
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
増田 俊夫 京都大学, 工学部, 助教授 (60026276)
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Keywords | 機能性材料 / 置換ポリアセチレン / 分子設計 / 高分子合成 / 高分子膜 / 気体透過性 / ポリ〔1-(トリメチルシリル)-1-プロピン〕 |
Research Abstract |
本研究は昭和62年度, 1)大きな立体効果が予想され, 高重合体を生成することが期待される種々のオルト置換フェニルアセチレンの重合挙動, 2)分光法による生成ポリマーの構造解析と諸性質(成膜性, 力学的性質, 熱安定性など)の解明, および3)置換ポリアセチレン膜の気体透過挙動について検討した. 以下に研究成果の要旨を述べる. 1.種々のオルト置換フェニルアセチレンの重合 オルト置換フェニルアセチレン(例, 0-メチール, 0-CF_3置換体)の重合を検討した. WCl_6は無置換のフェニルアセチレンだけでなく種々のオルト置換体からも高い収率でポリマーを生成した. MoCl_5の場合無置換体よりむしろオルト置換体の方が収率が高くなった. ポリマーの分子量は置換基の立体効果が大きくなる程増大するという注目すべき結果が得られた. 2.生成ポリマーの構造および性質の解明 生成ポリマーの色は暗褐色ないし紫色で, 置換基の立体効果が大きい程可視光吸収が長波長シフトするという興味深い傾向がみられた. これらのポリマーはトルエンなど極性の低い溶媒に可溶で, キャスト法により製膜が可能であり, 空気中でも高い熱安定性を示すなど数々の特徴を示した. 3.置換ポリアセチレン膜の気体透過挙動 種々の置換ポリアセチレン膜の, 酸素に対する溶解度係数(S)および拡散係数(D)を調べた. ポリ(TMSP)の透過係数((P;P≡D×S)が非常に大きいのは, S, Dともに大きな値を有することによることが分った. 一般に, 脂肪族ポリアセチレンは大きいDを, 一方芳香族ポリアセチレンは大きいSを示した. ヘリウム, 二酸化炭素など他の気体についても同様の結論が得られた.
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[Publications] T.Masuda: Macromolecules. 21. 281-286 (1988)
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[Publications] Y.Abe: J.Polym.Sci.,Part A,Polym.Chem.
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[Publications] T.Masuda: Polymer.