1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62604582
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 広志 大阪大学, 工学部, 教授 (30028930)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 弘 大阪大学, 工学部, 助手 (30164370)
森 博太郎 大阪大学, 超高圧電顕センター, 助教授 (10024366)
角田 直人 大阪大学, 工学部, 助教授 (20029200)
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Keywords | 電子線理工学 / 電子照射誘起アモルファス化 / 電子照射誘起異種原子注入 / リコイル・異種原子注入 / 結晶-アモルファス遷移 / 新機能材料創生 / 新機能付加法 |
Research Abstract |
本研究は, 電子線理工学と呼ぶべき学問分野を確立させるために, 他の粒子線に比して大きい特徴を有する高エネルギー電子線によって新しい素材を創生する基礎研究を行ったものである. その結果, (1)各種金属間化合物で電子線誘起アモルファス化に成功するとともに, それらのアモルファス化に関する一般原則を見出した. (2)異種原子としてPbおよびSiを用いて, そられの原子を同じく高エネルギー電子線を用いてAl結晶の中に打込むことに成功した. 結果(1)は, 近年注目されている結晶のアモルファス化を正確, かつ完全に行うとともに, 再現性も完全なものであり, アモルファス化による材料の新機能付加の手法を確立するとともに, 従来その観察が不能であった結晶核の性質およびその形成過程をも明確にする手法であり, 今後その応用は非常に広いことが期待される. これに対して, 結果(2)は, 新しい異種原子の固体内注入の新手法を確立したもので, 例えばこの方法として電子工学材料に多く用いられているイオン注入法と比較すると, i)イオン注入法では材料の表面はもちろんのこと, その内部にも大きい損傷を生ぜしめるのに対して, その損傷は極めて微量で, 実用上は皆無に等しい. また例え僅かな損傷があっても, その損傷は単純なものであり, 低温加熱を短時間施すことによって容易に消滅する. ii)イオン注入ではイオンの持つエネルギーが大きいことから, 注入される材料の温度上昇が著しく, したがって注入原子の過飽和の度合は少ない. これに対して電子線を用いる本法では, 試料の温度上昇は無視できる. iii)イオン注入の深さは極く浅く0.1μm以下に抑えられるが, 本法では数nmから最大数mmまで注入深さを制御できる. などの画期的な特長を示した. したがってこの手法は今後新素材の創生に画期的な効用を発揮することが期待され, (1)の結果と結合させることによってその応用範囲は極めて広いものとなる.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 藤田 広志: 応用物理. 56. 822-842 (1987)
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[Publications] 藤田 広志: 日本金属学会会報. 26. 638-643 (1987)
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[Publications] 藤田 広志: 金属(アグネ,東京). 5-11 18-23 (1987)
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[Publications] N.Sumida,A.Yamamoto and H.Fujita: Proc.EMAG′87. 90. 159-162 (1987)
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[Publications] H.Inui,H.Mori and H.Fujita: Scripta Metallurgica. 22. 249-254 (1988)
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[Publications] H.Mori and H.Fujita: Proc. 5th Japan Institute of Metals International symposium. (1988)