1987 Fiscal Year Annual Research Report
スピン間有効交換相互作用の非経験的分子軌道計算に基づく新規高分子磁性体の設計
Project/Area Number |
62604585
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 兆 大阪大学, 基礎工学部, 助手 (80029537)
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Keywords | ab initio MO 計算 / スピン間有効交換相互作用 / 新規高分子磁性体 / 高温超伝導 |
Research Abstract |
本研究では, スピン間の有効交換相互作用を非経験的分子軌道計算により求めることにより新規高分子磁性体を設計し, 高分子合成化学者との協力により, その合成可能性を検討した. まず, 高スピン分子の可能性を理論的に検討するため種々のπ電子化合物にラジカル置換基を導入したものをab initio計算し, その導入位置によりスピン状態がいかに変化するかを検討し, スピン整列規則を導出した. この結果はSynthetic Metal誌上に発表した. 次に, 高スピン分子間の分子間相互作用を検討するため, 種々の分子配向を仮定して, ダイマーおよびトリマーのab initio MO計算を実行した. この結果に基づき, 分子間でのスピン整列規則を導出した. その内容は1)軌道相互作用規則, 2)スピン積層規則, 等にまとめられるが, その詳細な記述はSynthetic Metal誌上で展開した. さらに, 合成可能性を検討するために, 高分子化合物の高次構造制御に関する手法の発展段階を調査研究した. この結果, 新規磁性体の合成には従来までの有機化学的手法に加えて, ドライプロセス等の物理化学的方法の検討が重要であることが判明した. この点は現在進行中である化学工学のミクロ指向とも合致しているので化学工学誌上に発表した. さらに, このような考え方を「分子化学工学」と名付け, 学問体系にする事を提案した. 一方, 86年にはじめて合成が報告された有機磁性体の磁性発現機構について検討し, その問題点を分子積層技術との関連で考察した. この点については機能材料で報告した. 今年度の重点研究では以上の成果を得たが, 今後より詳細な検討を要する問題が山積みしていることが判明した. 特に磁性と超伝導の関係が酸化物超伝導体の発見以来問題となっているが, この点についてもJJAP誌上等でその見解を発表した.
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Research Products
(9 results)
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[Publications] K.Yamaguchi: Synthetic Metals. 19. 81-86 (1987)
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[Publications] K.Yamaguchi: Synthetic Metals. 19. 87-92 (1987)
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[Publications] 山口 兆: 化学工学. 51. 441-446 (1987)
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[Publications] 山口 兆: 化学工学. 51. 513-518 (1987)
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[Publications] 山口 兆: 化学工学. 51. 603-609 (1987)
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[Publications] 山口 兆: 機能材料. 7. 5-9 (1987)
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[Publications] K.Yamaguchi: Chem.Phys.Lett.143. 371-376 (1988)
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[Publications] K.Yamaguchi: The role of oxyzcn in chemisry and biochemuiry. 33. 263-268 (1988)
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[Publications] K.Yamaguchi: Theonet.Chim.Acta. (1988)