1987 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマスキチン・キトサンから生体特異性新材料の開発
Project/Area Number |
62604590
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
平野 茂博 鳥取大学, 農学部, 教授 (90032292)
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Keywords | 血中コレステロール値降下剤 / 生物組織内吸収性材料 / キチン, キトサン / 薬物除放性基材 / 生物機能性材料 |
Research Abstract |
本研究は, バイオマスであるカニ殻から得られるキチン・キトサンを, 化学修飾による分子設計で, 生体特異性材料に変換するを目的とする. 1)血中コレステロール値降下…高コレステロール(0.9%コレステロール含量)飼料, これに1%(0.4g/日/kg体重)と2%(0.8g/日/kg体重)キトサンを添加した飼料で兎を39〜69日間飼育(経口投与)し, 血清と肝臓のコレステロール値とトリアシルグリセロール値の変化を追跡した. 1%キトサン経口投与はこの両値に殆ど影響しなかった. 2%キトサン経口投与(39日間)は血清コレステロール値をコントロール値の約2/5, 血清トリアシルグリセロール値を約3/5と低下させた. また, 肝臓において,この両値は大差を示さなかった. しかし, 病理学解剖にて, キトサンを経口投与しない兎の肝臓は肥大と共に異常な赤褐色を示し, 2%キトサン経口投与した兎の肝臓は肥大もなく正常な暗褐色をしていた. 2)生物組織内吸収性材料…キトサンと脂肪酸無水物の反応で調製した一連のN-アシルキトサン誘導体のリゾチームとキチナーゼ酵素分解性を調べた. N-アセチルキトサンゲルは天然キチンより8〜13倍も酵素分解され易い. さらに, 酵素分解性はN-アシル基の化学構造に依存しN-acetyl>N-propionyl>N-formyl>N-butyrylの順で酵素分解された. 経口投与により兎はキチンを28〜35%およびキトサンを79〜83%消化した. この様に, リゾチームやキチナーゼ酵素反応速度は基質の立体配座と共にN-アシル基の化学構造により制御できることが解り, キチンやキトサンの経口投与による生体内薬物除放性基材や生体組織内吸収性材料になる手がかりが得られた. 今後, キチン・キトサンの化学修飾で薬物除放性基材など生物組織および消化管内吸収性の医学やバイオテクノロジー用材料を開発する研究を展開する.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] S.Hirano: Carbohydrate Research. 165. 120-122 (1987)
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[Publications] S.Hirano: International Journal of Biological Macromolecules. 9. 308-310 (1987)
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[Publications] S.Hirano: Agricultural and Biological Chemistry. 51. 1703-1704 (1987)
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[Publications] S.Hirano: International Jouranl of Biological Macromolecules. 9. 11-14 (1987)
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[Publications] S.Hirano: Polymeric Materials; Science and Engineering. 57. 38-42 (1987)
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[Publications] S.Hirano (C.G.Gebelein,ed.): ""Chitin and chitosan for use as a novel biomedical material" Advances in Biomedical Polymers" Plenum Publishing Corporation, New York, 258-297 (1987)
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[Publications] S.Hirano (M.Yalpani,ed.): ""Chemical modification of chitin and chitosan,and their applications" Industrial Polysaccharides; Genetic Engineering, Structure/Properties Relation and Applications" Elsevier Scientific Publishers,B.V., Amsterdam, 163-176 (1987)