1987 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロ構造ラングミュア膜の分子設計と光変換機能発現
Project/Area Number |
62604593
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
斎藤 省吾 九州大学, 大学院総合理工学研究科, 教授 (80136548)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 哲夫 九州大学, 大学院総合理工学研究科, 助教授 (40037982)
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Keywords | ラングミュア膜 / 焦電効果 / 2次非線形光学効果 / 非対称分子配列 / シュタルク効果 / 分極 |
Research Abstract |
焦電効果や2次非線形光学効果を示す薄膜デバイスをめざし, 強い極性をもつ分子を用いて安定な非対称ラングミュア膜を作製する基本指針を確立するための研究を行った. 両親媒性分子中にアゾべンゼン単位を介して永久双極子を導入する方針を選び, 疎水鎖長及びアゾべンゼンと親水基の間のメチレン鎖長の関数としてラングミュア膜中の分子の配向状態を明らかにした. アゾべンゼンは親水基に直結させ, 長い疎水鎖をもつ分子が, 基板面に垂直方向に配列する傾向が強いとの結論を得た. 次いで, 親水性スルホンアミド基が直結したアゾべンゼンを含む両親媒性分子を用いてY型及びZ型累積を試み,さらに同分子とアラキン酸とからなるヘテロY型累積によるラングミュア膜をも作製した. これら3種の膜中の永久双極子の配向をシュタルク効果測定, X線回折測定等を併用して評価した. その結果, 理想に近いZ型累積による膜は不安定でY型膜に反転していたが, ヘテロY型累積による膜中では予想通りの非対称配向が実現していることを確認し, ヘテロY型膜の優位性が確定した. このヘテロY型膜中のアゾべンゼン単位配向に関するオーダパラメーター<cosθ>は0.57であった. 上記3種のラングミュア膜の焦電性を測定し, ヘテロY型累積膜でのみ強い焦電応答信号を得た. ヘテロY型膜の機能向上をめざす分子設計に関する研究にも着手した. アゾべンゼン単位に直結する親水基の化学構造を変化させ, 特に極性を強調した置換基をもつ分子からラングミュア膜を作製し, 膜中の分子配向状態を明らかにした. 強い電子吸引性をもつニトロ基のような置換基をもつ分子は, ラングミュア膜中及び水面単分子膜中で好ましい配向をとらないが, 親水性エトキシカルボニル基を含む分子との混合によって理想に近い分子配向を実現できるという新知見を得た.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M.Era,M.Fukuda,T.Tsutsui,S.Saito: Jpn.J.Appl.Phys.26. L1809-L1811 (1987)
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[Publications] 徐 新非,川村真一,江良正直,筒井哲夫,斎藤省吾: 日本化学会誌.
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[Publications] Xinfel Xu,M.Era,T.Tsutsui,S.Saito: Chem.Lett.
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[Publications] M.Era,H.Shinozaki,S.Tokito,T.Tsutsui,S.Saito: Chem.Lett.