1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62604603
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
小林 速男 東邦大学, 理学部, 教授 (60057635)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 礼三 東邦大学, 理学部, 助手 (80169531)
小林 昭子 東京大学, 理学部, 助手 (50011705)
|
Keywords | 有機超伝導体 / 分子性超伝導体 / BEDT-TTF / Ni(dmit)_2 / 分子性金属 / 合成金属 / 分子設計 |
Research Abstract |
有機超伝導体は高温超伝導体の可能な候補として1960年代より話題となって来たものであるが, 昨年の酸化物超伝導体の研究の進展により再びその実現の可否が問われるようになった. 本研究の目標は新しい分子性超伝導体を開発するための構造化学的指導原理をより明確な形とする事であった. 我々は一昨年我国独自の最初の超伝導体θ-(BEDT-TTF)_2I_3を見い出して以来, 昨年は第二番目のΚ-(BEDT-TTF)_2I_3を発表し, 更にπ-アクセプターと閉殻カチオンのつくる初めての超伝導体〔(CH_3)_4N〕〔Ni(dmit)_2〕_2を発見し報告した. Κ塩のTcは3.6Kでありその構造は従来の有機分子性金属の一次元カラム構造に基づく構造概念を完成に覆すものであった. 即ちπドナー分子が平均分子平面を向かいあわせ二量体を作り直交した二種の配向をもつ二量体が互いに相手をとり囲み二次元平面をうめつくし層状金属を形成する. θおよびΚ塩の構造解析によって得られた分子配列と拡張ヒュツケル法によるバンド構造の荒い吟味により平面π分子によって理想に近い二次元層状金属を合成する事が可能である事を初めて明瞭にする事が出来た. この事は最近の分子性金属の二次元化の流れが一応の到達点に達した事を意味する. 我々の見いだしたΚタイプの分子配列様式は層状金属超伝導体の一つの典型になりつつある. 一方〔(CH_3)_4N〕〔Ni(dmit)_2〕_2(Tc=5K(7Kbar))はθ, Κ塩と異なり一次元性の強い電子構造をもつ. しかし, 従来の一次元金属系と異なり二対きフェルミン面を持つ処に特徴があり我々はこの系に対し多フェルミン面系という考えを提案した. 最近我々により反強〓性が発見された新しい分子性金属(R_1, R_2-DCNQI)_2もまた多フェルミン面性をもつ系である. この様な分析を通して分子性超伝導体探索の径路として系の二次元を図る以外に多フェルミン面系を探索すると言う方向がある事を提案した.
|
-
[Publications] Reizo Kato: Chem.Lett.,. 1987. 507-510 (1987)
-
[Publications] Akiko Kobayashi: Chem.Lett.,. 1987. 459-462 (1987)
-
[Publications] Akiko Kobayashi: Chem.Lett.,. 1987. 1819-1822 (1987)
-
[Publications] Akiko Kobayashi: Solid State Commun.,. 62. 57-64 (1987)
-
[Publications] Koji Kajita: Solid State Commun.,. 64. 1279-1284 (1987)
-
[Publications] Akiko Kobayashi: J.Chem.Phys.,. 87. 4962-4966 (1987)