1987 Fiscal Year Annual Research Report
酸素酸化に用いる環状ペルオキシドの効率的合成と変換
Project/Area Number |
62607520
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
磯江 幸彦 大阪市立大学, 理学部, 教授 (90046946)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 潤一 大阪市立大学, 理学部, 助手 (30127170)
勝村 成雄 大阪市立大学, 理学部, 講師 (70047364)
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Keywords | 環状ペルオキシド / 酸素酸化 / 電極反応 / 有機金属 / 一重項酸素酸化 / γヒドロキシブテノリド / マノアリド |
Research Abstract |
エレクトロオーガニックケミストリーやオルガノメタリックケミストリーなどの新しい手法をとりいれた酸素酸化により, 現在生体との関連などから種々の分野で強い興味をもたれている環状ペルオキシドを効率よく合成し, さらにこれを他の有用な物質に変換する方法を開発する目的で研究をおこない, 本年度次のような成果を得た. 電極反応によって酸素分子, オレフィン, 1,3-ジケトンが形式的に〔2+2+2〕環化付加を起こし環状ペルオキシドが生成することを見出した. この反応は触媒量の電気しか必要としない極めて効率の高いものであり, 炭素-炭素結合を形成しながら酸素分子を挿入するという点で画期的な酸素酸化反応といえる. そしてこのようにして合成した環状ペルオキシドが2価の鉄塩などにより興味ある開裂反応を起こすことも見出した. さらにここで得られた知見をもとにビニルスルフィドを酸素酸化してα-フェニルチオカルボニル化合物を得るという新しいタイプの反応を開発することができ, 今後この反応を環状ペルオキシドの合成に応用していく計画である. また有機金属を利用する酸素酸化として, α位にトリメチルシリル基を導入することにより一重項酸素酸化に対してフラン環が活性化されると同時に中間に生成する環状ペルオキシドが位置特異的に開裂しγ-ヒドロキシブテノリドが生成することも見出した. 従来オレフィンなどの存在下にフラン環を選択的に酸化することは困難とされていたが, ケイ素を導入することによりこの問題が一挙に解決された. この反応をパラジウム触媒カップリング反応などと組み合わせることにより, プロスタグランジン生合成を阻害するなどの重要な生理活性を有するマノアリド類の全合成を初めて達成した. 今後この反応を利用して他の生理活性を有する天然物の効率の高い合成法を開発していく計画である.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 吉田 潤一: Tetrahedron Letters. 28. 667-670 (1987)
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[Publications] 勝村 成雄: Tetrahedron Letters. 28. 1191-1194 (1987)
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[Publications] 吉田 潤一: 有機合成化学協会誌.
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[Publications] 吉田 潤一: 投稿準備中.