1987 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
62610002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野崎 義行 東京大学, 海洋研究所, 助教授 (70126142)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長屋 裕 放射線医学総合研究所, 研究室長
坪田 博行 広島大学, 総合科学部, 教授 (70013555)
中西 孝 金沢大学, 理学部, 助教授 (00019499)
中井 信之 名古屋大学, 理学部, 教授 (40022529)
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Keywords | 化学トレーサー / 放射性核種 / 放射性炭素 / プルトニウム / タンデトロン / マンガン・ファイバー |
Research Abstract |
本研究では, 主として放射性核種とトレーサーとして海水の流動・混合の過程を解明しょうとしている. またその手段としての測定方法の改良にも取り組んでいる. 本年度の研究実績としては, 先ずマンガン・ファイバーを係累することにより日本近海の陸棚斜面附近の海水のThとPaの測定を行ない, 斜面の堆積物から^<228>Raと同様に^<227>Acが海水に供給されていることが確認できた. 従ってこれらの核種は, 鉛直方向の輸送と等密度面に沿った水平輸送の相対的な重要性を評価するのに役立つものと思われる. またこれまで知識の空白地帯となっていた日本海溝や伊豆・小笠原海溝において, 最大水深9750mにおよぶ海水試料の分析を完了した. その結果, (1)海溝内のポテンシャル温度, 塩分溶存酸素, 栄養塩は, いずれも水深5〜6000mの海水に近くほぼ一様に分布する. (2)^<230>Th, ^<231>Pa, ^<210>Pb, ^<228>Thなども半減期の差やそれ〓浅での分布の違いによらず同様に一様である. (3)人工の^<90>Srや^<137>Csは殆んど検出されないのに対し, ^<239>,^<240>Puは比較的高濃度に存在し, しかも日本海溝の方が伊豆小笠原海溝の濃度より高い, ことなどが明らかになった. これらのことは, 海溝内の海水が比較的短時間に更新されていて淀んだ状態にはならないことを示唆するとともに, Puが底層水の識別に今後役立つ万能性をも示した. 一方 1968-9年に30°N-70°Sにかけて太平洋から探取した試料の^<14>Cを名大タンデトロンを用いて測定した. これにより核実験由来の^<14>Cの海洋中・深層への侵入過程を追跡する貴重なデータが得られた. さらに昭和62年5〜6月に実施した白鳳丸の航海では, 沖縄トラク, 東シナ海・黄海などで多数の試料を探取し, その一部はすでに分析を終えたがまた現在分析中のものもある. このように全体としては順調に成果が得られつつある.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.Noqaki;H.S.Yang: J.Oceanogr Soc,Japan. 43. 217-227 (1987)
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[Publications] Y.Nagaya;K.Nakamura: J.Oceauogr.soc,Japan. (IN PRESE)
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[Publications] Y.Nojaki;M.Yamade: Deep-Sea Res,. 30. 1417-1430 (1987)
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[Publications] M.Kusabe,T.L.ku,J.R.Southci,J.S.Vogel,D.E.Nelson,C.I,Measues,Y.Nojki: Earth Planet.Sci Lett. 82. 231-240 (1987)
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[Publications] Y.Nojaki,H.S.Yang,M.Yamacla: J.Geophgs.Res. 92. 772-778 (1987)